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杉並区教育委員が「つくる会」(扶桑社)の歴史教科書を採択

 杉並区の教育委員会は、12日臨時会をひらき、来年度から区立中学校で使う歴史教科書に、侵略戦争を肯定する「新しい歴史教科書をつくる会」が主導する扶桑社の教科書を区民の強い批判をおしきって採択しました。

侵略肯定に区民の抗議

 審議のなかで大蔵雄之助委員は「一番学習指導要領に近い記述が並んでいる」と「つくる会」教科書を支持。宮坂公夫委員も「他の教科書は日本の過去を戦争ばかりで他国に害を及ぼしたとある。比べると扶桑社だ」と述べました。
 安本ゆみ委員は「『日本の将兵は戦闘精神を発揮してよく戦った』と書くなら、戦争の悲惨な実態や被爆国としての体験も書くべきだ」と「つくる会」教科書を批判。丸田頼一委員長も「扶桑社は全般的に説明調で、いかにして教え込むかという流れが鮮明だ。いまは思考力重視の教科書が求められる」と「つくる会」教科書の問題点を指摘。
 納冨善朗教育長は「日本人がどういう歴史を経て、どの方向に向かっていくのかを一貫して提示しているのが扶桑社だ」と発言。丸田委員長は「教育長の発言で、従来に決め方に従えばそう(つくる会教科書に)なる」と述べ、採択となりました。終了後、傍聴者からは「おかしい」「反対」などの声が次々あがりました。

撤回求め運動を

 12日夜「杉並の教育を考えるみんなの会」が開いた集会には150人が集まり、怒りと抗議の声があふれました。「間違ったことを教えたら日本のこどもたちがひどい目にあう。一緒に撤回の運動をやりたい」(在日本大韓民国民団杉並支部)など撤回を求める運動を進めていくことを拍手で確認しました。

区教委は採択をやり直せ〜区議団が申し入れ〜

 日本共産党杉並地区委員会と区議団は12日、区教育委員会が「つくる会」教科書の採択を強行したことに抗議する声明を発表し「教科書選定を振り出しに戻し、区民の声をよく聞いて歴史教科書の選定をやり直すこと」を申し入れました。沢田俊史衆院東京8区予定候補と区議団が申し入れ書と抗議声明を区教育委員会事務局に手渡しました。