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06年 第一回定例会での一般質問(2)障害者自立支援法について

2月21日、本会議場

 次に、障害者自立支援法について質問します。
 障害者の福祉や医療を大きく変える障害者自立支援法が4月から順次施行されます。応能負担だった利用者負担を応益負担に変え、障害者とその家族に大幅な負担増を強いるもので、「これまでのサービスが利用できなくなる」と強い怒りや不安の声があがっています。
 そもそも応益負担は、障害者福祉と相容れないものです。応益負担は、障害が重く、手厚いサービスが必要な人ほど負担が重くなり、「お金がなければ支援が受けられない」事態となります。また、障害者本人やその家庭が裕福かそうでないかで、社会参加や自立の機会が左右されてしまうなど不公平も生じます。こうした弊害をうみだし、障害者の生活を困難に追い込む応益負担の導入について、区はどう考えているのか、あらためて見解をうかがいます。また、応益負担の導入によって、杉並での利用者負担はいったいどのくらい増えると見込まれるのかお答え下さい。 
 福祉サービスの利用者負担は、原則一割ですが、所得に応じ、生活保護世帯は0円、低所得者1は15000円、低所得者2は24600円、一般は37200円の月額負担上限額が設定されています。区民税非課税世帯が「低所得者1」「低所得者2」の対象となり、軽減措置が受けられますが、申請が必要で、申請しなければ「一般」になってしまいます。区は、申請を勧奨する通知を出していますが、通知の内容が理解できず申請し忘れる人が出るのではないかと、心配の声が寄せられています。区は、対象になる人が申請し忘れることのないよう配慮すべきですがいかがでしょうか。
 利用者負担について、国は、月額負担上限額のほかにも複雑な減免制度を設け、きめ細かい配慮をしたとしています。しかし、低所得者1で障害年金2級月額66000円受給している人の場合、そこから15000円を負担しなければなりません。収入の2割を利用料として払わなければならない状態は、到底配慮などといえるものではありません。施設入所者の場合、手元に残るのは1ヶ月25000円です。1日800円でどうやって生活しろというのか、途方にくれています。グループホーム入居者や通所施設に通う場合は、手元に生活費が残る保証はなく、多くの場合は赤字です。わずかな工賃を大幅に上回る利用者負担のおしつけに「自立支援どころか、自立を妨げ、生きる権利を奪う」と怒りの声があがるのは当然です。しかも、福祉サービスの負担以外に、別途、医療費、補装具、地域生活支援事業サービスの負担がかかってきます。施設を利用すれば食費や光熱費もかかります。「いったいこの先生活がどうなるのか」とあちこちから悲痛な叫びが聞こえています。こうした障害者や家族の声にこたえ、負担を少しでも取り除き、支援する自治体の取り組みが始まっています。京都市では、所得区分を独自に細分化し、それぞれの負担上限額をおおむね半額にすることや、福祉サービス・医療費・補装具を重複して利用する場合も総合的な上限額を設定してその額を超える負担が生じた場合、償還する軽減策を発表しました。また、荒川区では、全所得階層を対象に在宅サービスの利用料10%負担を3%負担に抑えるなどの軽減策をとることを明らかにしました。負担が増えることによって、障害者がこれまで受けていたサービスを我慢するなど後退につながらないよう杉並区としても独自の軽減策を設けるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 障害者の日常生活を支えるうえで、ホームヘルプサービスは欠かすことのできない基礎的サービスで、東京では1万1千人、杉並では800人近くの障害者が利用しています。東京都は、支援費制度導入の際に、新たな利用者負担が発生しないよう独自の負担区分を設定して利用者の94%が無料でホームヘルプサービスを継続できるようにしました。しかし、自立支援法では、低所得者への上限額があるとはいえ、生活保護世帯以外、無料は廃止され、大部分の利用者に新たな負担がうまれます。ホームヘルプサービスは自立した社会生活を続けるうえで重要なサービスで、継続できなければたちまち生活は困難に陥ります。それだけに負担軽減は切実な要求です。新たな負担をしなくても従来通り利用できるよう軽減策が必要と考えますがいかがでしょうか。
 次に、精神障害者の通院医療費についてうかがいます。
 育成医療と更正医療は、これまで所得に応じた応能負担で、精神通院医療は5%負担でしたが、自立支援医療では、すべて原則一割の応益負担になります。大幅な負担増は、経済的な打撃となるだけでなく、受診を中断し、病状の悪化を招きかねません。東京都は、精神障害者の通院費について、5%負担についても、住民税非課税者に対しては無料にしてきました。一定の低所得者への限度額の設定や社会福祉法人減免があっても多くの通院者にあらたな負担が生じます。精神障害者の多くは定期的な通院と投薬が欠かせません。新たな負担によって通院が中断されることがないよう、最低でも住民税非課税者に対してはいままでどおり無料とすることが求められていますが、都は対象を「非課税者」から「非課税世帯」にすることを検討しています。そうなった場合、杉並で負担増となる対象者は何人になるでしょうか。引き続き、非課税者には無料とするべきですが、いかがでしょうか。
 次に、地域生活支援事業についてうかがいます。
 介護給付、訓練等給付以外に、10月からあらたに地域生活支援事業が設けられます。事業内容としては、移動支援、コミュニケーション支援、地域活動支援センター事業、相談事業などのほか、成年後見や居宅生活サポート事業などのサービスも提案されています。そこでうかがいますが、ガイドヘルパーや手話通訳派遣など現在行われているサービスは、10月に移行するまでのあいだ、どうなるのでしょうか。また、「地域生活支援事業」について、事業内容や利用者負担など、詳細を早急にあきらかにすべきですがいかがでしょうか。
 介護給付や訓練等給付は義務的経費となりましたが、地域生活支援事業は裁量的経費とされました。そのため、財源が不安定となり、これまでのサービス水準が維持されていくのか心配されています。サービスが後退したり、利用者負担の増大につながらないよう、区は予算を確保していくべきですが、見解をうかがいます。
 小規模作業所など法外施設は、5年以内に地域活動支援センターに移行することとされています。小規模作業所は、法内の通所授産施設整備が遅れているために、当事者の努力で設置がすすめられ、法内施設を含めた通所施設全体の約7割を占める大きな役割を果たしてきました。国は、2006年度予算案で、小規模作業所への補助金をなくしました。地域活動支援センターへの財源に振り向けたかたちですが、2006年度中に移行できない場合は、年間の運営費が削減されることになります。施設関係者から、4月以降もこれまでの施設運営やサービスの提供が継続できるのか、不安の声が寄せられています。これまで障害者の活動拠点として大きな役割を果たし、さまざまな努力で運営されてきた作業所の運営が困難にならないよう、区は支援策を講じるべきですがいかがでしょうか。また、法内施設へ移行するための支援策についてもどのようにお考えかうかがいます。
 最後に、障害程度区分判定とケアマネジメントについてうかがいます。 
 サービス利用の手続きも大きく変わります。「障害程度区分」を認定する審査を受け、「利用計画」が作成され、それにもとづいて支給期間、事業ごとの支給量が決定されることになります。介護保険制度の「要介護認定」と同じものが障害者施策においても制度化されたことになります。介護給付の区分判定は、訪問調査の聞き取り結果にもとづくコンピュータによる一次判定と区の審査会の二次判定によって、訓練等給付は一次判定で確定します。認定や支給決定にあたっては、障害者の実態や支援ニーズに合わせた適正な判定が行われるような配慮が求められます。
 審査会について、学識経験者、医師、保健福祉専門職などで構成することとしていますが、障害の状態が適切に反映されるよう、障害者を委員に加えることや、必要に応じて申請者が直接意見表明ができる機会を持てるようにすべきと考えますがいかがでしょうか。個別計画作成、利用のあっせん・調整・契約の援助など、障害者の状態に応じた適切なケアマネジメントが行われるよう、ケアマネジメント従事者の研修や養成をすすめることが重要と考えますがどのようにお考えでしょうか。
 新しい法体系の実施を目前に控えたいま、区が、区民の福祉の増進を図るという自治体本来の役割を発揮し、障害者や家族の新たな負担増を軽減し、サービス低下を招かないために全力を尽くすことを求めて、私の質問を終わります。