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「保育について」一般質問しました

  
 第二回区議会定例会初日の6月6日、本会議一般質問にたちました。全文を次のとおりです。
  日本共産党杉並区議団を代表して、保育について質問します。
 (認可保育所整備で区はどのように対応してきたのか)
 保育園に入園を希望しても入れない待機児童問題が深刻化しています。杉並区でも、認可保育園への4月申込者数が昨年の1386名に対し、3割増の1797名(411人増)と大幅に増加しました。先の第1回定例会でも一番の焦点となった問題であります。 
 子どもを保育園にあずけて働かなければ生活できないのに入れる保育園がない−
区民の切迫した状況はいまも続いています。わが党が行った子育てアンケートにも「保育園にとにかく入れません。区立保育園に10ヶ月前からずっと申し込んでいますが、毎月の選考にもれ、4月入園もできませんでした。今は、認可外にあずけていますが、近くの保育園に入れる保証がなく、最近転園せざるを得なくなり、慣れない環境にまた移されてこどもは毎朝泣いています。入園できないことで、家族みな精神的に不安です」と悲痛な声が寄せられてました。また、認可外にも入れず、一時保育で一週間のうち3日はA保育園、あとの2日はB保育園などと綱渡りのように日替わりであずけているケースもあるということです。まさに「保育難民」という状況です。こどもは通園する保育園が一定せず日替わりになるため、なかなか保育士と人間関係が築けず一日中泣いているということが現場の保育園関係者からも寄せられました。
 待機児童が急増している要因について、景気悪化で共働きをせざるをえない家庭が急増していることがいわれ、区も「急激な景気悪化による保育需要の急増によるもの」と答弁しています。しかし、今回の待機児童問題は、突然におこったことではなく、この間、保育の需要は増えてきているのに、認可保育所整備を怠ってきたことによって引き起こされたものであり、杉並区の責任が重大であることを指摘しなければなりません。 4月1日付広報、区長のいいメールで、区長は「保育定員をこの5年間で約500人と大幅に増加させた」と述べています。しかし、その大半は認証保育所176人、認可保育所278人の増というものです。さらに、その認可保育所増の中身は、私立保育園の分園2園47人と定員増231人というものです。要するに認可保育所の詰め込みと認可外保育の推進です。あらたな区立保育園は20年以上ひとつも増設してきていません。定員増では詰め込みになり、事故がおきないか、保育水準が低下にならないか心配されますが、職員の努力で維持されているといえるのではないでしょうか。。
 児童福祉法24条には、「市町村は児童の保育に欠ける場合において、保護者から申し込みがあったときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない」と、市町村の保育の実施責任を明確にしています。また、保護者の願いも認可保育所への入所です。認可保育所の整備は、区の基本的な責務ではないのか、待機児急増という事態を招いた責任をどのように感じているのか、見解を問うものです。東京都は、2007年12月に、2010年までの3年間で認可保育所6500人分含め、15000人分の保育所を増やすという緊急3カ年の計画を示しました。杉並区は、この都の計画を受けて何かしら対応してきたのでしょうか。さらにさる6月1日の都議会で東京都は、今年度の目標を1,5倍に引き上げを示しましたが、あらためて、杉並区として、都が示した計画に対しどのように対応するのか、見解をうかがいます。
 
 (待機児の現状と今後の区の対応について)
 4月時点での待機児について、旧定義―-認可保育所への入所を希望しても入れなかった人数と、新定義―その人数から認証保育所、保育室、家庭福祉員などを利用できた人をのぞいた人数、それぞれの数を示してください。地域ではどこに需要が多く、不足しているのか。さらに年度途中の申込によって待機児は増加することが予想されますが、今後の見通しについてもうかがいます。
 先日、わが党区議団は、4月15日に開所した1、2歳児20人が通う堀ノ内保育室を視察してきました。建物は旧立正短期大学研修センターで、ひととき保育堀ノ内も開設されています。住宅街のなかに位置し、庭もあり、家庭的な雰囲気で環境はとてもよいところだと感じました。給食もついています。一方、同じ区の保育室である下高井戸保育室は給食がなく、お弁当を持参しているとのことです。調理室のスペースがないという理由ですが、不平等、格差が生じているのではないでしょうか。これから夏にかけて、衛生面でも心配です。
 区が緊急対策として、こうした保育室を設置したことについて一定の評価はするものですが、あくまで保育室は緊急臨時的なものであります。0〜2歳の対象年齢を超え、3歳になったときの受け入れ先があるのか心配です。どのように対応するのでしょうか。また、区は保育室について5年程度の設置を想定しているとのことですが、たとえば、堀の内保育室などは、認可保育園の分園への転用も検討すべきと考えますがいかがでしょうか。
 いま何よりも求められていることは、小手先や場当たりの対応ではなく区が本格的な認可保育所整備計画を持ち、あらゆる手立てをとることです。中長期的な保育所の整備計画について、今年度の早期に策定するとしていましたが、その検討状況についてうかがいます。
 民間が行う認可保育所整備への支援である国の安心こども基金、東京都の待機児解消区市町村支援事業、保育対策緊急支援事業などフルに活用すべきと考えます。
 区施設の活用という点でいえば、統廃合された若杉小学校跡地を特養ホームなどと併設し、認可保育所として有効に活用すべきと考えますがいかがでしょうか。
 保育所整備は土地の確保が決定的ですが、東京では、地価が高いことが増設のネックになっています。公立、私立に限らず、用地取得のための補助制度や都有地の無料貸与など東京都は区市町村に対し支援を行うべきです。また、保育所の整備は、国や都が責任を持って行うべきですが、現状では公立保育園の整備費は全額区の負担になっています。用地取得をはじめ、新設、建て替え、増築の際の財政負担を国や都が行うよう求めるべきと考えますがいかがでしょうか。  

 (量とともに保育の質も重要)
 保育の量とともに、質も大変重要です。
 認可保育所の子ども一人当たりの面積は、現行基準より少なくとも2割広くすべきだ―厚労省の委託を受けた保育や建築の専門家らが1948年に制定されて以降、改正されていない国の最低基準引き上げを提言する報告書をまとめした。現行の最低基準は保育室の一人当たりの広さを0歳から1歳で3,3㎡、2歳以上で1,98㎡以上と定めていますが、こどもの利用時間が長くなっていることふまえ、落ち着いて食事や昼寝をすることが、子どもの心身の発達には重要であること、そのためには食事の場と昼寝の場を使い分ける必要があることから、現在の最低基準は保育をすることが不可能ではないが、現行基準以上のものとなる方向で検討することが重要だと指摘しています。
 東京都は石原知事になってから、認可保育所をつくるのはお金がかかるといって、保育をもうけの対象にし企業が経営する認証保育所を中心にすすめてきました。認証保育所は、自由契約で保育料も自由設定、保育士などの正規職員は6割以上でよい、0・1歳児の施設面積は2,5㎡まで弾力化するなど、認可保育所の最低基準をさらに緩和したものです。また、補助金と保育料による運営費の使途制限がなく、他の事業や株式配当などにまわすことも認めています。都レベルでは、「開設からわずか2か月で突然閉園」「こどもの食材費を一食数十円まで削る」「職員数の虚偽申請で補助金を不正に受け取る」など問題が噴出しています。区内の認証保育所ではこうした悪質な事例はおこっていないと思いますが、ある認証保育所では、こどもが散歩にでるとき、靴をはくのに玄関が狭いために外の道路に一列にならんで履いているということです。また、普通は4人ぐらいのせているかごに7〜8人のこどもをギューギューずめでのせていた、などの光景がみられたということです。職員は十分配慮しているとは思いますが、事故がおきないかと不安がよぎります。保育所は乳幼児が一日の大半を過ごす成長の場であり、数年にわたって通うところです。よりよい保育環境の整備ははみんなの願いです。
 区は今後も認証保育所の整備を促進していく方向ですが、保育の質の面から認証偏重の保育政策を検証すべきではないでしょうか。少なくとも現在の「認証保育所」について、保育士などの職員配置、有資格者の割合、施設の面積などの設置運営基準と指導検査の強化など、抜本的な再検討が必要と考えますが、区の見解を求めます。
 国は、保育の需要増に対応できないのは、現行の保育制度に問題があるとして、自治体が保育の実施責任を負う現行制度を、介護保険制度のように、要保育度認定に基づく直接契約制度に転換する保育の改変を進めようとしています。実施されれば保育所を探すのは利用者の自己責任、増やすのは民間企業任せになってしまいます。今後厚労省は新制度の詳細設計に入り、2011年度までに児童福祉法を改定するとしています。制度改変は中止し、保育予算を大幅に増やすよう国に求めるべきでありますが見解を求め、私の質問を終わります。

 <答弁>
○待機児急増の責任についてのお尋ねですが、区ではこれまでにも、将来的な保育需要の増大を見据え、認可保育園の改築や改修に併せて定員や保育サービスの拡充を図るとともに、認可保育所分園の設置や認証保育所の整備など、着実に対策を講じてきたところです。今回の急激な景気悪化による保育需要の急増に対しましても、臨時保育室の緊急設置、認証保育所等の保護者負担!2さらなる軽減などにより、適切に対応しております。このように、認可保育園に限らず、保育施策全体を通して区としての責任を十分果たしているものと考えております。
次に、東京都の計画についてのお尋ねですが、東京都におきましては、平成20年度から「保育サービス拡充緊急3ヵ年事業」に取り組んでいますが、昨今の経済情勢の悪化による保育ニーズの急増に対応して、今年度の整備目標の引き上げを行ったものと伺っており、保育ニーズへの緊急対応として必要な対策だと考えます。
○次に、4月の待機児童数についてのお尋ねですが、4月の待機児童数は137名でございます。なお、5月は120名、6月は92名となっており、21年度中頃の解消に向けて着実に減少してございます。地域的には、特出した傾向はございませんが、中央線北西部地域及び井の頭線沿線地域の園が多い傾向がございます。なお、いわゆる旧定義の待機児童数は算出してございません。
次に、保育室の3歳児以降の受け入れや認可分園への転用についてのお尋ねですが、3歳児以降については、近隣の認可保育園への転園等のほか、区立幼稚園の有効活用などを含め、具体的な方策を早急に検討してまいります。なお、区保育室につきましては、現時点では5年程度の設置を想定してございますが、今後の保育ニ-ズの動向などをみながら将来的な位置付けについて検討してまいりたいと存じます。_
次に、若杉小跡地についてのお尋ねですが、若杉小跡地については、昨年末に地域の方や学校関係者などで構成する懇談会から提言をいただいておりますので、これをふまえ、また、区として必要な施設についても検討いたしまして、跡地活用計画案をまとめているところです。
次に、中長期的な整備計画についてのお尋ねですが、現在、待機児童解消状態を安定的に継続することを目的として、平成25年度までの5年間の中期計画についてし頻討を進めていると_ころでございます。
○次に、国や都に公立保育園整備費の財政負担を求めるべきとのお尋ねですが、区立保育園の整備費は、平成17年度の三位一体改革により一般財源化されたところでありますが、少子化対策は国や都が取り組むべき課題でもありますので、財政支援について国や都に要望してまいりたいと存じます。
○認証保育所制度についてのお尋ねですが、認証保育所は、企業などの民間活力を活かし、大都市の多様な保育ニーズに的確に対応するために一定の役割を果たしているものと認識してございます。基本的な面横基準等は認可園に準じていますが、大都市の駅前中心という立地条件から、施設の使い勝手等の制約はやむを得ないものと認識してございます。なお、指導検査につきましては、引き続き都と協力して厳正に対応してまいりたいと存じます。
○最後に、国の保育制度見直しについてのお尋ねですが、国におきましては、2月の社会保障塞革会少子化対策特別部会の第一次報告を受け、今後の法制化に向けて、保育サービスの拡充のための方策や、財源・費用負担のあり方などを検討中であると伺っておりますので、今後の検討を見守りたいと存じます。