2010年第1回定例会 減税基金条例が与党の賛成多数で可決
3月12日、第一回区議会定例会が閉会しました。この日、「減税基金条例」の採決が行われ、与党の賛成多数で可決されました。
「減税基金条例」は、毎年区の一般会計予算の一割(約150億円)を、国債などの購入にあて、その運用益で区民税を10年後に10%減税、一〇〇年後に無料にするという「減税自治体構想」を実現するための条例。今議会で一番の焦点で、2月28日(日)の区議会予算特別委員会で集中審議が行われました。
与党会派からも「山田区長は今期でやめることを表明しているが、次期の区長に確実に引き継がれるのか」「減税の実現性があるのか」など疑問の声があがりました。杉並自民議員倶楽部が行ったアンケート調査では、賛成・反対がきっ抗した結果が示されました。
日本共産党区議団は、独自に行った436件のアンケート結果を示しながら問題点を指摘しました。
・区民への周知がまったく不十分。説明責任を果たしていない。
・「減税基金」といいながら、「大規模災害時の対応のため」にも使うなど、目的が複数あり、運用も複雑となる
・税金はその年に収めた区民のために使う「予算単年度主義」が民主主義の鉄則。区長はこれを「使い切り予算」と批判し、ことの本質をねじまげて、巨額の貯めこみを正当化している。
・財調基金への積み立てや、行き過ぎた借金返済で、認可保育園や特養ホームが不足するなど区民サービスは低下してきた。巨額の積み立てを続ければ今後も区民サービスの後退は明らか。
・年収240万円の高齢夫婦世帯の減税額は年間一六〇〇円ほどで微々たるもの。それより、現在の区民のために保育や介護などに使うべき。
審議のなかで、実現性の点でも疑問が呈されました。そもそも150億円を10年間貯め続けても運用益は22億5千万円。区民税10%減税に必要な約60億円に届かず、不足する30億円は一般会計から直接充当することになります。
さらには、「高額所得者がや所得者が他区からやってきて税収が増えると、逆に税収が減る区がうまれることになり、都区財政調整のなかで、杉並区の交付金が減らされる可能性も指摘されました。区は、こうした点について明確に否定できませんでした。
最終日の採決で、議長を除く45名の議員のうち、賛成は、公明、自民二会派、民主、区政杉並クラブの35名。反対は、日本共産党区議団6名はじめ15名でした。しかし、賛成した与党会派から「基金の積み立てに際しては、行政サービスの低下を招くことなくさらなる区民生活の向上を図ること」や「条例について区民の理解が得られるように周知に努めること」など、4項目の「付帯決議」が提出されました。賛成はしても大きな不安をかかえている姿勢のあらわれといえます。党区議団は「減税自治体構想」そのものに反対する立場から、付帯決議にも反対しました。条例は可決されましたが、引き続き区長と賛成した各会派の責任を追及するとともに、廃案に向け、運動の先頭にたって奮闘する決意です。