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2011年第3回定例会が閉会しました

1、9月7日から始まった第3回杉並区議会定例会は10月7日に閉会しました。本定例会は、2010年度の決算に対する総括を通じて2012年度の予算編成にいかすという重要な意義を持った議会でした。特に、当該年度は、山田前区長から田中区長へと交代した年であり、当初予算がどのように変化し決算に至ったのか、また、山田前区政が投げ捨てていた〝住民福祉の向上〟という自治体本来の責務を果たす区政への転換がはかられたのかが問われました。
 日本共産党杉並区議団は、区内諸団体と懇談を行い、また区民生活にかかわる資料の分析を通じて区民の深刻な生活実態を明らかにし、その解決をめざして区の姿勢を質しました。

1、2010年度決算は、特別区民税や国民健康保険料の収納率が4年連続の低下となり、税では93,4%に、国保料では69,3%になりました。3割を超える区民が国保料を払えていない深刻な事態となっています。この間、徴収強化を続けても、特別区民税や介護保険料、国保料などの不能欠損額(区が徴収不能と判断し、徴収を断念した総額)と、収入未済額(その年度で徴収しきれなかった税や国保料などの総額)が増加し、収入未済額の合計は過去最高の110億円を超えました。ここ数年の課税標準段階別納税義務者数の推移でも、課税標準額(総収入から必要経費を控除した額)200万円以下の各層が増えているのに対し、300万円から1000万円超の層が減っており、「二極化」ではなく、高額所得者が減り始め、貧困が広がっているというのが区民の実態といえます。しかし、田中区政の区民生活の実態分析は、生活保護が増え続け、区の一般会計の1割を占めていることを強調するのみで、わが党が、税や国保料の減免制度の拡充や公営住宅の増設などを求めてもそれに応える姿勢がありません。区長は「自治体の最大の役割は福祉の向上に尽きる」と言ってはいますが、具体策は極めて不十分だといわざるをえません。

1、第2回定例会に引き続き、わが党は、〝災害に強いまちづくり〟を区が取り組むべき最優先課題にすえるよう迫りました。東日本大震災で、区内で震度5強が多い地域が東京都の地域危険度測定調査では危険度が低いランクとなっていることについて、わが党は、都に再調査を求めるべきと指摘しましたが「再調査を求める考えはない」とかたくなに拒否しました。積極的に区民の命や財産をまもるという姿勢が希薄だと言わざるをえません。想定震度の見直し、耐震化、不燃化の促進など、地震から区民の命と財産を守るために、引き続き全力を尽くします。

1、わが党区議団は、8月から区内の公園など約130施設、延べ900箇所の放射線量独自測定を行いました。その結果、区の測定では見つからなかったミニホットスポットが発見され、議会で再三にわたり高線量部分について区が再測定し除染を行うよう迫りました。わが党の要求に応え、区が再測定、除染の実施を決定したことは重要な成果です。今後も、区民とりわけ子どもたちを放射能災害から守るために、詳細な測定や除染の推進などを求めて奮闘します。あわせて、原発を廃止し、再生可能エネルギーへの転換も求めていきます。
1、西荻北・高井戸西幼稚園を2013年度から子供園に転換する方針が打ち出されました。これまでも区立幼稚園の強引な「子供園」化は、保護者を中心に大きな批判を浴びてきましたが、今議会では、わが党や少数会派だけでなく、自民党や民主党などからも慎重論が飛び交いました。「職員の意思を尊重する」という田中区長ですが、保護者や区民の声こそ良くきき、強引な子供園化は撤回すべきです。
 認証保育所など認可外保育施設に偏重した保育施策から認可保育所増設への転換が求められています。わが党の申し入れや議会質問に対して、認可保育所の増設を新たなプランで位置づけるとともに、規模の大きい区保育室を認可保育所へ移行することを検討していると答弁したことは重要です。大幅な認可保育所増設とともに、「子ども・子育て新システム」の導入や認可保育所の面積基準緩和を許さない取り組みも強めていきます。

1、来年度からの第5期介護保険事業計画の策定が進められています。国の試算では介護保険料の大幅な値上げが見込まれており、わが党が、各種積立基金を取り崩して値上げを抑えるよう求めたのに対し、区は「都段階の基金の取り崩しを都に求めるとともに、区の基金は介護保険運営協議会などを通して調整する」と答弁しました。
 6月の介護保険法改定で、自治体の判断で要支援者の介護サービス取り上げに道を開く「介護予防・日常生活総合支援事業」を創設することが可能となりました。わが党は総合事業を導入しないよう8月に申し入れを行いました。介護保険運営協議会では区として導入しない方針を示したことは重要です。安心して受けられる介護サービスの拡充を求めていきます。

1、外環道路計画について、今議会のなかでも、区長は「災害時の緊急輸送のためにも必要」と強調しました。災害がおこったとき使えるのかどうか検証されていないにもかかわらず、あくまで推進しようとする姿勢は無責任きわまりないものです。ましてや大震災の復興財源が必要なときに、巨額の税金を投入することは容認できません。

1、小中一貫教育は、先行して実施されている自治体では多くの問題点が指摘されていますが、和泉地域で施設一体型一貫校の建設が推進されています。区長は、ここでも「区教委の意向を尊重する」といっていますが、なんの検証もないまま推し進めることは許されません。

1、減税自治体構想に基づく「減税基金条例」について、区長は来年の第1回定例会に廃止条例を準備していることを明らかにしました。わが党は、減税自治体構想に一貫して反対してきた立場から、廃止の提案について歓迎するものですが、なぜ廃止とするのかなど、しっかりと総括すべきと考えます。

1、以上述べてきた点などを指摘し、わが党は、2010年度の一般会計ほか各特別会計の認定に反対しました。補正予算についても、防災や放射能汚染対策、保育、高齢者施策など重要な経費も計上されましたが、「小中一貫校を推進する実施設計の費用が計上されていること、さらに決算剰余金48億円余は区債の繰り上げ償還と積み立てにすべてまわすのではなく、一部でも困窮する区民のための施策にまわすべき」と意見を述べ反対しました。同時に、日本共産党杉並区議団は474項目にわたる予算要求を区長に提出し、区民要求実現に向けた提案を行いました。今後も区民の期待にこたえ奮闘します。