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杉並区内の医療機関 肺がん検診で見落とし 40代女性が死亡原因解明と再発防止策の徹底を

「異常なし」3回

杉並区の肺がん検診を受けた40代女性が、異常の見落としによって、今年6月に肺がんで死亡していたことが明らかになりました。
亡くなった女性は、河北健診クリニックで2014年・15年に職場の成人健診を受診し、胸部Ⅹ線検査で腫瘤影があるにもかかわらず「異常なし」と判定されました。さらに、同クリニックで今年1月に受けた区の肺がん検診でも「異常なし」とされました。
 女性は、今年4月、呼吸困難で救急搬送され、肺がんと診断され、6月下旬に死亡しました。
 発表によると、同クリニックでは、画像の判定にあたって、院内医師2人がダブルチェックを行っていました。14年の検査では、内科医は「要精密検査」と判定しましたが、放射線科医は「異常なし」と判定。その際、放射線科医の判定が専門性が高いとして優先され、最終的に内科医が「異常なし」としました。

専門医関与せず

区は、肺がん検診の委託先医療機関に対し、レントゲン画像の判定は、所属する医師と、放射線か呼吸器の専門医の2人で行うのが望ましいとする指針を設けています。しかし、女性が1月に受けた区の肺がん検診では、レントゲン画像を判定したのは内科医2人で、専門医は関わっていなかったことが判明。画像にはがんの影が写っていましたが、内科医2人は「異常なし」と判定しました。

44人が「要精密検査」

河北健診クリニックでは、年間約5000人が区の肺がん検診を受けています。この問題を受け、2014年9月以降の肺がん検診受診者9424人について再読影を実施したところ、新たに44人が「要精密検査」となりました。そのうち43人に連絡が取れ、31人が精密検査を予約しています。(7月23日現在)

安心できる検診体制を

区は、当面の対策として、検診を行う指定医療機関の読影体制の確認、精度管理登録表の提出、読影する医師に対する研修等を実施。抜本的対策として、有識者からなる外部委員会を新たに設置するなどとしています。
 こうした事故を繰り返さず、区民が安心して受診できる検診体制をつくるため、杉並区が原因解明と再発防止策を徹底するよう求めます。