議会質問

HOME > 議会質問 > 2016年第一回定例会 代表質問全文

2016年第一回定例会 代表質問全文

 日本共産党杉並区議団を代表して、予算編成方針とその概要について区長に質問します。

(1、安保法制=戦争法と緊急事態条項について)
 はじめに、安保法制と緊急事態条項に対する区長の認識についてです。
 安倍政権が昨年9月に強行した戦争法のもとで、自衛隊が戦後初めて海外で人を殺し、戦死者を出す現実的な危険が高まっています。
 ひとつは、政府が、南スーダンで活動する自衛隊のPKO部隊に、他国の部隊等を守るための駆けつけ警護など、新しい任務を与えようとしていることです。南スーダンでは停戦合意が事実上崩れ、政府と反政府勢力による武力衝突が繰り返され、住民と兵士が入り乱れた紛争が続いています。深刻なのは、11歳から17歳の子どもたちが1万人以上、少年兵として戦闘にかりだされていることです。こうした地域で自衛隊が駆けつけ警護にあたれば、自衛隊員が住民や子どもたちに銃口を向けることになる危険が生まれます。
 もうひとつは、過激武装組織ISに対する米軍などの軍事作戦に自衛隊が参加することになる危険です。政府はISに対する空爆支援について「政策判断としてやらない」としつつ「法的には可能」と言っています。アメリカが日本に支援要請をしてきたときに、自衛隊が軍事支援に乗りだせば、多数の罪のない民間人が犠牲になり、憎しみの連鎖によって、日本がテロの標的になる危険も高まります。
 日本の平和と国民の命を危険にさらし、立憲主義を破壊する戦争法は、一刻も早く廃止すべきです。
 戦争法強行後、自民党の国会議員が「国民はモチを食べれば安保法制も強行採決も忘れる」といったそうですが、国民は忘れるどころか怒りを募らせ、今通常国会の初日には、国会前に3800人もの市民が集まり「モチ食って怒り増す」などのプラカードが掲げられました。杉並区内でも、広範な区民が、立場の違いを超え、戦争法廃止を求める行動に取り組み、区議会では、17名の超党派議員による行動が続いています。1月に実施された読売の世論調査では、戦争法を「評価する」が35%に対し、「評価しない」は51%と上回っています。
 昨年の第4回定例会で「戦争法廃止を国に求めるべき」とのわが党区議団の質問に対し、区は「戦後の安保関係の法案審議で最長の時間を費やし成立したが、国民の中には十分な理解を得られていないことは否めない。国には今後とも当該法制への理解促進に努めていただきたい」と答弁しました。
Q1 これは、戦争法を容認し、推進せよという姿勢と受け取らざるを得ませんが、そうした理解でいいのか、あらためて区長の見解をうかがいます。
Q2 容認・推進という立場なら、そうした姿勢は改めるべきです。日本国民を危険にさらす戦争法の廃止を国に迫るべきでありませんか。見解を求めます。区長自身の認識をしっかりお答えください。
 
 安倍首相は憲法の解釈を変更する「解釈改憲」にとどまらず、憲法の条文そのものを変更する「明文改憲」に向けて前のめりになっています。その突破口として、緊急事態条項を創設しようという動きが急浮上しています。
 「緊急事態条項」とは、外部からの武力攻撃や内乱などの社会秩序の混乱、地震など大規模自然災害の際に、首相が「緊急事態」を宣言すれば、内閣が「法律と同一の効力を有する政令を制定したり、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができることを規定したもので、2012年4月に自民党が発表した党改憲草案98条に盛り込まれた条項です。国民にたいしても「何人も(中略)国その他公の機関の指示に従わなければならない」と規定しています。議会制民主主義、地方自治、国民の権利を破壊する危険な「戒厳令」そのものです。
Q1 「緊急事態条項」は、独裁国家に道を開き、憲法9条の改悪に進む危険極まりないものであり、憲法で定める「地方自治」の理念を根底から覆すものです。基礎自治体の長として、正面から反対の声を上げなければならない問題と考えますが、区長の見解をうかがいます。

(2、安倍政権の経済政策について)
 次に、安倍政権の経済政策について質問します。
 アベノミクスの3年間で、大企業は二年連続、史上最高の利益を更新し、内部留保は300兆円を超える一方、物価上昇を差し引いた労働者の実質賃金はマイナス5%となりました。年収400万円の労働者でいえば、年間20万円もの賃金の目減りです。さらに、安倍政権は、消費税8%への増税、年金の引き下げ、介護報酬削減、生活保護の切り下げなどを次々と強行し、国民に痛みを押しつけてきました。国民生活基礎調査では「生活が苦しい」と答えた人は62%にのぼっています。
 こうしたときに、安倍政権は来年4月消費税を10%に増税しようとしています。軽減税率を実施するといいますが、食品などの税率を8%に据え置くだけで、10%への増税で総額4兆5千億円、1世帯あたり6万2千円もの大増税となることがあきらかになりました。さらに、今後も年金の給付水準の据え置きや入院食費の引き上げ、後期高齢者医療保険料の引き上げ、消費税増税に伴う「低所得者対策」として実施された福祉給付金の半減、子育て給付金の打ち切りなど、社会保障改悪のメニューが目白押しです。社会保障費の自然増を毎年5000億円に抑え込むとして、小泉内閣以来10年ぶりに、1%を超える診療報酬の引き下げも実施されます。
 こんなことが行われたら、区民のくらしは一層困難になり、貧困が広がり、立ち行かなくなることはあきらかです。その一方、大企業には法人実効税率を2018年度までに現行より2.37%引き下げるという大減税です。しかし、大企業にいくら減税しても賃上げにも設備投資にも回らず内部留保が増えるだけというのがこの間の経過を見ても明らかです。
 いま求められているのは、所得が1億円を超えると税率が下がる所得税を見直すことや、大企業ほど実質的な負担が低くなっている法人税を是正し、適正な負担を求めて社会保障の財源を確保することだと考えます。
Q1 区長は、これまで「消費税増税を含む社会保障と税の一体改革は、急速に進む少子高齢化と社会保障費の増大を踏まえれば、避けて通れない道筋、国民の将来の不安の解消を図るためにも必要な政策」と繰り返しいってきました。しかし、この一体改革と称して行われた増税と社会保障の削減が、予算編成方針で述べられている「個人消費のテンポの改善を遅らせ、将来不安を拭い去れない状況をつくりだしている」という矛盾した結果を招いたのではないでしょうか。見解を求めます。
Q2 国民の購買力を低下させ、くらしを困難に追い込む消費税10%増税と社会保障の改悪について、国に中止を迫るべきです。区長の見解を求めます。
  
(3 福祉の充実について)
 安倍政権による増税や社会保障改悪などで貧困と格差が広がり、区民のくらしは深刻さを増しています。区民の負担を少しでも軽減し、福祉を向上させるべく、杉並区が住民福祉の機関としての役割を最大限に発揮するよう求めるものです。
 福祉の充実について質問します。
○まず、子どもの貧困対策についてお聞きします。
 親の失業や低収入、病気、離婚などによってもたらされる子どもの貧困が年々深刻になっています。平均的な所得の半分未満で暮らす子どもの割合、相対的貧困率は16・3%と過去最悪を更新、6人に1人が貧困状態に置かれています。ひとり親世帯に限ると54.6%とさらに深刻で、OECD(経済協力開発機構)加盟34カ国で最悪となっています。
 2013年、国会で「子どもの貧困対策法」が成立し、安倍政権は一昨年ようやく「対策大綱」を策定しましたが、実効性が乏しく見直しが求められています。
 昨年の第1回定例会代表質問で、わが党区議団は、足立区のように、子どもの貧困実態調査を行い、貧困をなくすための総合対策と数値目標をはっきり掲げた計画を策定するよう求めました。区長は「子どもの将来が家庭環境によって左右されたり、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る子どもの貧困対策は、区にとっても大きな課題である」との認識を示しながらも、「子どもの貧困対策計画の策定は都道府県に努力義務があることから、今後も東京都の動向を注視し、それぞれの取り組みについて必要な見直し等を図っていく」と答えるにとどまりました。
 東京都が発表した新年度予算原案には、子どもの貧困対策の推進体制を作り調査研究に5000万円、放課後に子どもが食事や勉強する場をつくる区市町村に対する補助に8400万円などが盛り込まれました。こうした制度も活用し対策の強化を図っていくことが求められています。
Q1 子どもの貧困対策について、区はどのように取り組んでいくのでしょうか、現状と今後の体制についてうかがいます。
Q2 経済的に厳しかったり、ひとり親で食事の支度をする余裕のない家庭など、様々な事情を抱えた子どもたちに、無料または低額で食事を提供する「子ども食堂」が全国各地に広がっています。食材のほとんどを寄付によってまかなうなど、ボランティアの人たちが支えています。杉並区内の状況はいかがでしょうか。都の補助も活用し「子ども食堂」の取り組みを支援するよう求めますが、いかがでしょうか。
Q3 日本の大学の学費は世界一高いと言われています。私立大学の初年度納付金は平均で131万円、国公立大学も81万円を超えています。経済的理由で進学をあきらめたり退学に追い込まれる学生が増加しています。また、2人に1人が奨学金に頼らざるをえない状況となるなか、奨学金を返したくても返せない若者が増え、自己破産に追い込まれるケースも少なくありません。OECD加盟34カ国の中で、大学授業料を無償化しているのは17カ国、返済不要の給付制奨学金を導入している国は32カ国に広がっていますが、日本ではいまだ給付型奨学金制度を創設していません。そうしたなか、足立区、世田谷区などでは、区独自の給付型奨学金の実施に踏み出しました。杉並区としても、国に制度の実施を求めるとともに、区独自に制度の実施に踏み出すよう求めますが、いかがでしょうか。
Q4 憲法26条で掲げる「教育を受ける権利」「義務教育の無償」を具体化した制度の一つが就学援助です。杉並区の就学援助の所得基準は、生活扶助基準の1・2倍ですが、生活保護の改悪で扶助基準そのものが引き下げられ、消費者物価など生活実態とかけ離れています。23区の他の自治体では江戸川区は1.5倍、台東・板橋は1.26倍、品川は1.25倍などとなっています。貧困が広がるなか、杉並区でも就学援助の所得基準引き上げが必要と考えますが、いかがでしょうか。
Q5 安倍政権は「1億総活躍社会」のなかで、ひとり親世帯の支援を盛り込みましたが、中見はきわめて不十分です。昨年、区が行った「ひとり親家庭実態調査」では、今後の課題として、住居確保の支援、就労支援の充実、子どもの学習支援の充実などが挙げられています。区は、今後どのように拡充を図っていこうとしているのか、うかがいます。

○次に保育について質問します。
Q1 今年度の認可保育園の入園申請者数は、昨年度比349人増加となり、例年と比較しても増えています。今年4月の認可保育所の申請状況をうかがいます。また、区定義での保育待機児童の解消に向けた見通し状況についてもお答えください。
Q2 この間、待機児童解消に向けた取り組みが進められていますが、依然として保育需要は高まり続けており、認可保育園の整備は喫緊の課題となっています。来年度以降、さらなる認可保育園の増設が必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、来年度の認可保育所定員増の施設増の見通し、目標定員数をうかがいます。
Q3 現状では、今年4月時点で区定義での待機児童を解消することは厳しい状況です。入園出来なかった待機児童への対応として、保育室の整備等の緊急対策を求めますが、いかがでしょうか。
Q4 保育士の処遇改善も喫緊の課題です。保育施設整備が進むなかで、保育士確保に重大な課題が生じています。日本全国で潜在資格者は70万人とも言われていますが、そうした保育士が、保育現場に戻れない状況が続いています。低賃金・長時間労働で自分自身の子育てもままならないなど、保育士から悲鳴が上がっています。国に対し、保育士のさらなる処遇改善を求めるべきですが、見解を伺います。
 また、区立保育園で、保育士の正規・非正規雇用の割合が逆転し、非正規雇用が増え続けた結果、きわめて深刻な状況が生まれています。ある区立の保育園では、迎えの時に、正規の保育士がいないため、「どの子の保護者か分からない」「子どもの名前が分からない」「一日の子どもの様子が把握されていない」など、保育士や保護者から不安の声が寄せられたとの話を聞きました。保育現場で、非正規雇用の割合が増え続けることにより、正規の保育士の負担も増加しています。
 区立認可保育園において、正規雇用の割合を増やし、現場の負担を軽減するよう求めますが、いかがでしょうか。また、私立の認可保育園に対しても、区独自の保育士の処遇改善に、さらに取り組む必要があると考えますが、見解をうかがいます。

○次に介護保険制度について質問します。
Q1 介護保険制度改悪に伴う影響が、介護現場に深刻な打撃を与えています。特に介護報酬の引き下げは、介護人材が確保出来ず、全国各地で介護施設の閉鎖も相次ぐなど事業所存続に関わる影響を与えています。区内の介護事業者においても影響は深刻で、運営の継続と事業所存続のため、既存サービスの縮小なども発生しています。安倍政権は「介護離職ゼロ」を打ち出していますが、それに逆行するものとなっています。
 この間、区は介護報酬を引き上げると、介護保険料の値上げに関わるとの認識を示してきましたが、そもそも国庫負担を引き上げないまま、保険料のみに跳ね返す仕組みが、介護現場に大きな負担を強いる根本原因となっています。
Q1 国に対し、介護報酬の引き下げは止めるよう求めるともに、介護報酬の引き上げが、保険料の値上げに跳ね返るという、現行の介護保険制度を見直し、国庫負担を抜本的に引き上げるよう求めるべきではないのか、見解をうかがいます。また、区独自に介護報酬の加算などを検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
Q2 制度開始以来、最大の変更点となっているのが、要支援1・2の利用者に対する自治体独自の総合事業の実施です。杉並区では新年度から総合事業を実施することが示されています。事業者の参入意向について、「現行相当サービス」と「緩和した基準のサービス」それぞれどのような状況になっているのか、うかがいます。
 介護保険運営協議会では、特に「緩和した基準のサービス」について、「現状でも厳しい介護報酬がさらに引き下げられるなかで、継続的なサービスの提供が出来るのか?」「今現在、事業所で雇用しているヘルパーなどの報酬は変わらないので厳しい」など、介護現場の事業者の深刻な実態が語られています。今後、総合事業の実施は現行相当サービスを基本とし、これまでのサービス総量を維持すべきと考えますが、見解をうかがいます。
Q3 「緩和した基準のサービス」について、国の方針では、多様な主体によるサービス提供が求められています。専門的なサービスをボランティアなどの簡易的なサービスに置き換えることが狙われていますが、どの程度の自治体で多様な提供主体を確保できるのか、見通しも立っていない現状です。今後、杉並区は多様な提供主体の確保を検討していくのか、見解をうかがいます。
Q4 特養ホームの増設も最重要課題です。
 この間も取り上げている高円寺防衛省宿舎跡地は、一定規模の用地でもあり、区民福祉の向上に資する活用が求められます。昨年から区への活用照会も行なわれており、昨年、国が新たに示した国有地活用の際の優遇貸出方針のスキームを最大限利用し、特養ホーム整備などを検討することを求めますが、認識をうかがいます。また、既に活用を要望した上高井戸住宅跡地について、国のスキームを積極的に活用すべきと考えますが、見解をうかがいます。

○国民健康保険について
 国民健康保険料率を改定する議案が提案されます。1人当たり年間4644円の値上げで、一人あたりの平均保険料は11万1189円となります。
 国保料は、毎年値上げされ、例えば年収200万円、40歳夫婦と子ども一人の三人家族の場合、2011年は、年額11万3760円でしたが、2015年度は18万2307円、介護分を含めると21万8千円余にもなっています。被保険者の負担はもう限界です。国保加入世帯は、他の医療保険と比べ経済的基盤が不安定で弱く、医療費水準も高くなるという構造的な問題を抱えており、国や自治体の財政支援なしには成り立たない制度です。それにもかかわらず、国は1984年度から2010年度の間に、市町村国保の総収入に占める国庫支出金の割合を50%から25%へと半減させました。これが国保料高騰の大きな要因となり、滞納世帯の増加へとつながっています。
Q1 一般財源からの繰り入れをさらに増やし、国の保険者支援金を活用するなど被保険者の負担軽減のための手立てをとるべきと考えますが、見解を求めます。
Q2 保険料減免制度について、全国各地の自治体では、障がい者、ひとり親、高齢者、借金をかかえている場合などにも適用しています。杉並区でも減免制度の適用範囲を広げるよう求めるものですが、見解をうかがいます。

(4、区内業者支援について)
 次に区内業者への支援に関わって質問します。まず、小規模企業振興基本法についてです。
 2014年6月、国会の全会派一致で、小規模企業振興基本法が成立しました。従業員が製造業で20人以下、卸売りや小売り業で5人以下の事業所を小企業と定義し、国と地方自治体がその支援を行うことを明確化したものです。具体的には、自治体に対し、小規模企業の当事者を含めた検討組織を設置し、商業に関する実態調査を実施することや、自治体独自の基本計画を策定し国へ年次報告を行うよう求めています。
 杉並区はすでに産業振興審議会を設置して、産業実態調査を行い、産業振興計画を策定しています。しかし、これらはまさにこれまでの中小業者支援の枠内にとどまるものであり、そこに新たな視点を加える必要があります。
Q1 そこでお聞きします。区がすでに行っている審議会の設置や実態調査、振興計画の策定に、あらためて小規模企業振興基本法の理念を踏まえ、小規模企業に自助努力を促すだけでなく、個店への直接支援など自治体の役割を明確化した内容に改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。
Q2 各地で大きな成果を上げ、職人や商人支援に成功している住宅リフォーム助成制度や高崎リニューアル補助金など、個店を直接支援する制度も杉並区で創設すべきと考えますがいかがか、見解を求めます。
Q3 国会への年次報告を通じて自治体が行った施策の実効性、妥当性が図られるよう定められていますが、区としてはどのように対応するのか、お答えください。
 
 公契約条例についてです。
 設計労務単価が今年1月20日、4年連続で引きあげられました。区は、この間の設計労務単価の増加の影響を調べるため、アンケートを行っています。ところが、全体の回答の8割が元請業者と一次請け業者で、二次以下の下請け業者が占める回答の割合は2割にとどまりました。アンケート調査を行うこと自体、23区のなかでも先進事例であり評価するものですが、設計労務単価引き上げの影響を見るアンケートとしては、あまりにも現場労働者を抱える下請け業者の回答が少なすぎると指摘せざるを得ません。
Q1 アンケートを改善すべきと考えますが、いかがかお答えください。
 アンケートのなかで、区は、設計労務単価の8割にあたる賃金をいわば妥当な賃金の基準とし、それを上回っていたかを聞いたところ、二次請け業者以下の多くが基準を下回っていると回答しました。設計労務単価が二度上げられた時点での調査ですから、いくら設計労務単価をあげても現場に落ちないということが明らかではないでしょうか。そこでおききします。
Q2 いくら設計労務単価を上げても現場労働者に賃金がいきわたらない状況を区としてはどのように考えているのでしょうか。公契約条例がいよいよ必要な時と考えますが、見解を求めます。
 すでにいくつかの自治体で、理念条例でない実効性のある公契約条例がつくられてきています。たとえば高知市では、公共調達のもとで働く労働者の労働報酬下限額を定め、告示させる条例をつくっています。つまり、最低賃金よりも高い公共事業で働く労働者の最低賃金を条例で定めているのです。
Q3 公契約条例を作る際、高知市のように労働報酬下限額を盛り込んだ条例とすべきと思いますが、杉並区としてはどう考えるのか、うかがいます。

(5、防災対策について)
 2月6日未明に発生した、台湾の地震では、多くの方が犠牲となりました。心からお悔やみを申し上げます。
 東京でも、首都直下地震の可能性が指摘されるなか、防災対策の推進は重要な課題です。新年度予算には、区独自の詳細な地震被害シミュレーション実施や耐震化、不燃化の助成拡充、また、わが党区議団が再三にわたり求めてきた感震ブレーカー設置支援などが盛り込まれたことは重要です。引き続き、地域防災力の向上に向けた取り組みが求められます。
Q1 自主防災組織では、構成員の高齢化が進み、世代継承をどう図っていくのかが課題となっています。国分寺市では、1978年度から今日まで30数年にわたり、市民向け防災学習の場「市民防災まちづくり学校」を実施しています。市民の防災知識と対処能力の向上を目指したものですが、副次的に地域社会における防災まちづくりの担い手である数百人の活動市民がうまれ、それぞれの地域団体などで中心的に活動しているとのことです。こうした取り組みも参考に、区が防災連続講座の開催などを支援し、率先して活動する住民を醸成していくことは重要と考えますが、いかがか、見解を求めます。

(6、あんさんぶる荻窪の財産交換について)
 次に、今定例会に提案されるあんさんぶる荻窪と荻窪税務署等との財産交換について質問します。議長、質問の途中で、別の議員が資料としてパネルを提示させていただきますので、許可願います。
 財産交換問題をめぐって、この間、あらたな事実が明らかになりました。老朽化に伴い、H23年度から建て替え工事に入る予定だった荻窪税務署の工事を休止させるために、田中区長が、2010年(平成22年)12月、財務省理財局長あてに申し入れた公文書の内容が、住民の情報公開請求によって明らかとなったのです。
 公文書の内容は「荻窪駅周辺整備にあたり、区民の利便性向上のため、国税・都税・区税の行政機能の集約化を図ることを検討し、H26年度に供用開始できるよう必要な施設整備を進めたいと考えている。その際、税務署としての必要な機能を確保し、国に賃料負担が発生しない方法とする」というものでした。
 確かに、田中区長が国に対し、老朽化した荻窪税務署の建て替え休止を求めた経緯があったことや、「杉並の二つの税務署を一つにして、税務行政の効率化を図れないのかという問題意識があった」ということは、これまでの議会でも発言がありました。しかし、H26年度に供用開始できるよう区が施設を用意することや、賃料も無料にすることまで申し出ていたことは、これまで議会に一切報告はありませんでした。そこで、まずこの要請書の内容について、以下お聞きします。
Q1 ①この公文書は区長名で出されていますが、この要望を出すことについて、庁内のどの部門、参加者で議論が行われ、提出が決まったのか。あるいは区長の単独判断だったのか。
②要望書が財務省に出されたのはH22年12月ですが、この施設整備の計画はいつ、どのように準備されていたのか。
③「平成26年度に供用開始できるよう」と、供用開始時期まで示していたということは、具体的な計画があったはずですが、どの場所を予定していたのか。区が、区立の複合ビルを建設する計画だったのか。その場合、どのような複合ビルを考えていたのか。
④財務省からは要望への回答はあったのか。その内容はどうだったのか。
⑤結果的に施設整備に至らなかったわけですが、それまでの経過はどうだったのか、なぜ計画通りいかなかったのか。
⑥施設整備計画を履行できないことは、国にいつ、どのように伝えたのか。それに対する国の対応はどうだったのか。
⑦「国税・都税・区税の集約化を図ることを検討」とありますが、どのように検討してきたのでか、また国及び都に対し働きかけた経過はどうだったのか。
⑧「税務署としての機能を確保し、国に賃料負担が発生しない方法といたします」と申し出ていますが、具体的にはどのような方法を想定したのか。
⑨要望書の中に書かれている、国・都・区による連絡会はいつ設置され、どのようなことが協議され、会議をとおして何が決定されたのか。
⑩あんさんぶる荻窪と税務署の財産交換については、議会も住民もH25年11月14日のマスコミ発表によって知ることとなりったが、財産交換の提案を行うにあたり、事前に国とどのような協議や意見交換がされたのか、
 以上の点についての詳細な説明を求めます。

 要請書の内容を知り、私達は一様に驚き、衝撃を受けました。なぜ杉並区が税務署移転先を確保する必要があるのか。「賃料無料」に至っては、なぜそこまで国を思いやる必要があるのでしょうか。「財政が厳しい」と、区立施設を次々削減し区民サービスを削っている一方で、国には大盤振る舞い。区長の真意がまったく理解できません。
Q2 これほどの重大な方針を公文書という形で国に示していながら、議会に説明してこなかった責任をどう考えているのでしょうか。区長は議会に対し、計画や方針を示す責務があるはずです。それを果たさないというのはまさに議会軽視ではありませんか。なぜ議会に説明せず隠し続けてきたのか、答弁を求めます。
 わが党区議団は、2月3日、財務省理財局から聞き取りを行いました。応対した国有財産有効活用室長から、要請書に「H26年度供用開始できるよう施設整備を進めたい」と示されていたが、区からは一向に場所は示されず、H24年に問い合わせた際は「検討している。待ってほしい」との回答だったこと、しびれを切らし、H25年7月に「いったいいつまで待たせるのか」とかかなり激しく詰め寄った際も、またもや「検討している」との回答だったこと、そして、2か月後の9月にあんさんぶる荻窪との財産交換の話が提示されたなどの説明を受けました。これらの話から、区長が、駅前整備のために、なんとしてでも、建て替え工事をストップさせなけれらばならないと考えていたことは明白です。
Q3 そこでお聞きします。そもそもは荻窪駅前整備のために税務署を取り込みたいという区長の思惑から出発したものの、結局、税務署の移転先となる施設整備の目途が立たず、計画は破たん。窮地に追い込まれ、財産交換という形で、あんさんぶる荻窪を国に差し出すということに至った、というのがことの真相ではないのでしょうか、答弁を求めます。 
 田中区長が、税務署入所の具体的なあてもなく国に提案したならば、空手形を切ったということになります。無責任極まりないもので、失政というほかありません。 区長の失政を取り繕うために、あんさんぶる荻窪を犠牲にすることは到底認めるわけにいきません。
 そもそも、今回の財産交換は、議会にも住民にも知らせず、突然のマスコミ発表というやり方からして不可解なものでした。区民には丁寧に説明し理解を得ながら進めるなどと答弁しながら、地元町会や区民が再三にわたり開催を求めた財産交換についての説明会は一貫して拒み続け、施設再編整備計画についての説明会さえも荻窪南側で一回も開いてきませんでした。さらに、昨年3月には、区長が荻窪地域の町会に乗り込んで、まだ議会で議決されてもいないのに「財産交換はもう決まったこと、撤回できない」などと言い放つなど、区側の対応は本当にひどいものでした。これらのことも、今にして思えば、区長の税務署駅前誘致の思惑が破たんしたことから財産交換に至ったという真相が露呈することを恐れたためではなかったか、そうした後ろめたさがあったからではなかったかと合点がいきます。
 区長、こうした経過などまるでなかったかのように覆い隠したまま、区民の合意形成もなく、財産交換を強行しようとすることに区民の理解が得られると思いますか。区民は決して許さないでしょう。
駅前の一等地に建設費だけで28億円かけ、まだ築10年というあんさんぶる荻窪は、区と区民が協同してつくりあげたコミュニティの中心地であり、子どもの大切な居場所です。財産交換計画が示されてからの2年3カ月、あんさんぶる荻窪、児童館の利用者や地元住民は「なぜ、あんさんぶるをなくしてしまうのか、納得できない」と悩み苦しんできました。区長にその苦しみがわかりますか。
 この大切なあんさんぶる荻窪を、財産交換で廃止など認められない、とポスターや横断幕を掲げて町会、商店会まちぐるみで反対運動が起こっています。
 住民や子どもたちのかけがえのない居場所を取り上げ、同様の複合施設建設に新たに30億円以上もの莫大な税金を投入するという前代未聞の無駄遣いに区民の納得は得られていません。荻窪北児童館を追い出された学童クラブが移転するために耐震したばかりの桃井第2小学校を前倒しで改築というのも税金のムダづかいです。それにかかわって荻窪七町会が区に提出した桃二小早期建て替え要望書は、区の自作自演ではなかったのかという疑惑が指摘されていますがこれも払拭されていません。児童館が存続しないということを知った2つの町会が要望書を取り下げると、区長はなんら瑕疵はないという態度で、逆に2町会に対して「はしごを外された」と議会で言い放ち、地元住民を深く傷つけました。自分の失政を区民になすりつけるような姿勢はもはや、区長としての資格がないと指摘せざるを得ません。
 わが党は、これまで、財産交換しなくても、税務署は現在の敷地内に建て替えてもらい、残りの敷地を借りて特養ホームは整備できると求めてきました。それに対し、区は、国が現在地で税務署の建替えを行うとすると、国家公務員宿舎跡地に仮設庁舎をたてる関係から特養ホームを建てるのに非常に時間がかかる。だから財産交換で一体に土地を取得しなければならない、と言ってきました。しかし、財務省への聞き取りでは、税務署建て替え時の代替場所の確保コストを減らすため、宿舎部分に税務署を建て替える意向で、仮設庁舎は必要なかったということがわかりました。これは、区による重大な確認ミスです。
 また、区は、国が荻窪税務署の建て替えにあたり、現在の2060㎡という延床面積を拡大したい意向があり、そうなると現在の税務署の敷地よりも広がる可能性があり、大規模特養が建てられないような答弁もしてきました。確かに国有財産関東地方審議会のなかで、国は税務署建替えに際して3200㎡は確保したいといっており、私たちの財務省への聞き取りでもその旨回答がありました。しかし、区が宿舎跡地に建設予定の複合施設の延べ床面積は、地下も含めて7,280㎡、1階から4階まででも5,537㎡あり、税務署が必要としている3,200㎡よりもはるかに広いものです。税務署はすっぽり収まります。それどころか、もっと敷地面積を狭められる可能性もあります。要するに、財産交換などしなくても税務署が宿舎跡地で建替えられれば、税務署側の用地に200名規模の大規模特養はたてられるのです。この方法を取っていれば、税務署もH26年度には新しい税務署になり、大規模特養もH32年ではなく、もっと早く整備できていたのです。
 私たちがこういう主張をすると、区は地域包括ケアのバックアップ機能が複合施設に追加されるから、やっぱり財産交換が必要だというかもしれません。しかし、そのバックアップ機能も4階建ての建物のワンフロアの、さらにわずか一角にしか過ぎず、どうしても複合施設に入れなければならないという理由がみあたりません。
 私たちの聞き取りにより、国は、区が移転先を確保できなかった場合は、現在の場所で建て替えるつもりだったといっていました。その際、区が特養をつくりたいからそれに必要な土地を借りたいと申し出があれば、交渉に応じたと言っています。そして国の姿勢としてなにより重要なのは、国が地元の合意形成は重要だと言っていたことです。そして、もし議会で財産交換が否決された場合は、税務署は宿舎跡地部分で建て替えるといっていました。もちろん区から要請があれば、税務署部分の用地は国の新たなスキームを活用し、市価の四分の一以下で貸し出し、特養建設を可能にするとも言っていました。これは大変重要な答弁であり、私たちも驚きました。あんさんぶる荻窪をなくさずに済み、しかも大規模特養ホームもしっかりとつくることは可能なのです。
Q12 そこでおききします。財産交換のそもそもの前提がくずれた現在、道理の無い財産交換は白紙に戻すべきです。税務署用地と隣接する国家公務員宿舎跡地について、国の定期借地による介護施設整備の新たなスキームを活用すれば、大幅に負担を軽減した上で特養ホーム整備は可能です。区長は、国に真摯に謝罪し、税務署は現在の敷地内で建て替えてもらい、残り部分に定期借地で特養ホームを建設するよう、国と交渉しなおすよう求めますが、見解をうかがいます。 
 さて、財産交換の議案が提出されるにあたり、議員のみなさんにも訴えます。
 これまで議会に報告されて来なかったことがあきらかになり、この間の経過の検証が必要になっています。慎重な審議を行うためにも、せめて付託予定の総務財政委員会において、財産交換に関わる議案は継続して議論すべきです。良識ある区議会議員各位の英断を切に求めるものです。

(7 区立施設再編整備計画、使用料引き上げについて)
 最後に、区立施設再編整備計画と使用料の見直しについて質問します。
 先に述べたあんさんぶる荻窪の財産交換、昨年の第4回定例会で廃止が決まった科学館、児童館の今後についてなど、区立施設再編整備計画は住民不在のもとで進められ、区と住民の間に大きな不信と軋轢がうまれています。区の進め方や強硬な姿勢が事態を悪化させることにもなっており、計画に固執する区の姿勢を厳しく指摘するとともに、直ちに改善することを求めるものです。
Q1 長年の間、住民が主体となり、関わってきた区立施設の行方について、住民とともに施設の今後を考えることが自治体の道理ある立場です。施設再編整備計画は凍結し、それぞれの施設の今後について、住民参画のもとで検証をやり直すことを求めますが、見解をうかがいます。

○使用料引き上げ問題について
 区立施設の使用料値上げは、パブリックコメントさえも行われず、全くの住民不在のもとで進められました。昨年1月より、区立施設使用料の登録団体減額制度の段階的廃止が始まり、今年4月には2段階目の引き上げが行われます。来年4月には最終の3段階目の引き上げが行われ、登録団体の使用料減額制度は全面廃止となります。現行の使用料が3倍以上となる施設もあり、各団体から活動が困難になっているとの多くの声が寄せられています。
 さらに、使用料の値上げに伴い、利用者の負担感を抑えることを目的として、多くの区立施設で午後の部が2分割されることとなりましたが、利用者からは利用し辛くなっているとの声も寄せられています。
 自治体は住民の文化活動やスポーツ振興を推進する責務を負っていますが、この間の使用料の引き上げは、住民の社会参加の機会を奪うことに他ならず、自治体の役割を投げ捨てるものとなっています。わが党区議団は、使用料引き上げを止めるよう再三求めてきましたが、区はその度に受益者負担を強調し“未利用者との公平性を確保するため”と強弁しています。しかし、使用料が高額になるにつれ、低所得層の利用者・団体は施設使用が困難になっていいます。区が“未利用者との公平性を確保するため”としてやっていることが、“施設を利用しにくくする”ことになっています。現状の区の方針は到底認められません。
Q1 誰もが安心して活用できるよう、施設利用を保障する義務が区にあると考えますが、見解をうかがいます。また、杉並区内で長年に亘り育まれてきた地域コミュニティを破壊しかねない使用料の引き上げは直ちに中止するよう求めますが、見解をうかがって、質問を終わります。