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2021年第1回定例会 一般質問「住宅施策」「ジェンダー平等について」全文と答弁の概要

 日本共産党杉並区議団を代表して、住宅施策について、ジェンダー平等について質問します。

 はじめに、住宅施策についてです。
 日本共産党杉並区議団は、昨年末から区民のみなさんに、くらしの実態や意見、要望等についてアンケート調査を実施してきました。2月現在、3230人の方から回答が寄せられていますが、回答の特徴は、長期にわたるコロナ禍のもとで、苦悩や不安の声が多数にのぼっていることです。その中でも胸が痛んだことは、賃貸住宅に住んでいる方が、収入が減っているもとで家賃負担が重いことに苦しみ、将来に渡って家賃を払えるのか、住み続けられるのかという不安を訴える声が多数よせられたことです。
 一部を紹介します。
 「家賃が高くて、パートしないと家賃が払えなくて、年金が少なく、貯金はまったくなくて、見てもらえる家族もなく、病気をしたらどうしようかと毎日不安。年に4回の都営住宅募集に10年以上申し込んでいますが当たりません。どこに相談したらいいのかがわからず、…毎日がとてもつらいです。」「年金7万円アパート代6万円、1カ月のアパート代を支払ったらどうやって食べていけばいいのでしょうか。」「コロナで収入が減り、家賃を払うのでいっぱいいっぱい。食事も1日1食しか食べられない」などです。
 
Q1 私は、こうした声にこたえることが行政の責務であり、私たち議員の仕事だと痛感しました。 区長、こうした区民の叫びともいう声を、どう感じましたか。低所得者や高齢者が増え、住宅困窮者、要配慮者が増えていることは、区の住宅マスタープランにも記載されていますが、昨年来の新型コロナ感染拡大にともなう失業や減収の影響が、賃貸住宅に住んでいる方に鋭く現れている状況を、区として直視すべきと思います。どう認識していますか。

 区は、住宅基本条例の前文で、「住宅は、人々の生活を支える基盤」と位置づけ、「安定した居住を確保することは、健康で文化的な生活を営むうえで欠かせない」と明記しています。これは、住宅に関する国際的な諸原則が反映されたものだと思います。

Q2 国際人権規約では、食料や衣類とともに、住居を生活水準の重要な内容とし、生活条件の改善に努めることを締約国に求めています。1996年に開催された国連人権居住会議では、負担可能な費用で、安全で健康的な住宅に住むことを国民の権利と明記しています。もちろん住宅は、憲法25条が保障する生存権の土台です。憲法を始めとする様々な諸原則に対する区長の見解を伺います。

 次に賃貸住宅をめぐる杉並区の状況について確認したいと思います。
 杉並区は、持ち家世帯が多数というイメージがありますが、住宅統計及び区の統計をみると、総数では借家世帯が多数であることが確認できました。同時に、高齢世帯では持ち家率が高いものの、一人暮らし高齢者の場合は、借家住まいの方が少なくないことも確認できました。そこで、あらためてうかがいます。

Q3 区民全体に占める借家世帯数、及び借家世帯のなかでの公的住宅と民間賃貸住宅の比率、さらに一人暮らし高齢世帯での借家世帯数、その比率について、最新の統計でどうなっていますか。

 次に、区が住宅マスタープランなどで位置づけている「住宅確保要配慮者」について伺います。 区は、住宅施策の対象として「住宅確保要配慮者」という概念を定め、その方々を支援するとしています。そして住宅マスタープランでは「杉並区においては、高齢化の進行や厳しい経済情勢を背景に、低所得者、高齢者、障害者、ひとり親等の住宅確保要配慮者が増加しています」と記載しています。

Q4 この「住宅確保要配慮者」とは、どのような世帯のことをさしているのですか。「低所得者」という記載がありますが、その判断基準となる収入はどの程度でしょうか。都営住宅、区営住宅の入居対象になりうる世帯は、要配慮者になると思いますが、どうですか。また、増加していると記載していますが、何世帯程度と判断しているのですか。

Q5 私は、冒頭紹介したアンケートの声に示されるような、家賃が収入の半分など相当部分を占め、生活を圧迫するような世帯は、行政としての支援対象と位置付けるべきと思いますが、認識をうかがいます。
 
 次に具体的施策について提案し伺っていきます。
 住宅施策は、国、東京都、杉並区が一体となり、連携して取り組む必要があります。そうした視点にたって、具体的に伺います。

 低所得者、住宅困窮者に対する施策で重要な柱をなすのは、公営住宅の整備と入居事業です。公営住宅法第1条は、国と地方自治体協同の責務として、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することで、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する旨が明記されています。

Q6 コロナ禍の深刻な事態への緊急的対策として提案したいことは、事業用空き部屋等の活用です。都営住宅の場合、建て替えにともなう一時移転先すなわち事業用として一定の空き室を確保していると思いますが、これを開放するよう都に求めるべきではありませんか。いかがですか。

Q7 区民の要望で強いのは都営、区営住宅への入居です。
 公営住宅に10年以上応募しているが、いまだに入れないなど、悲痛な声があがっています。杉並区が行った区民意向調査にも「家賃が高すぎる。一人暮らしの人が入れる都営住宅がほしい」との要望が記載されています。東京都に都営住宅の整備を要望するとともに、区営住宅の整備を求めるものです。
 この点で、杉並区の世帯あたりの都営、区営住宅の供給戸数が低いことを指摘せざるをえませんが、23区で何位ですか。また、区内の賃貸住宅に占める公営住宅の比率についてもお答えください。

Q8 しかも少ないだけでなく私が統計を見たかぎりでは、2014年から2017年の3年間で、区内の都営住宅、区営住宅とも増えてないどころか減少しています。
 区は都に都営住宅の供給拡大を求めるべきです。どう対応してきましたか。
 
Q9 さらに、住宅マスタープランでは、「区営住宅」という記載はありますが、増設、整備を進めるという記載はなく、「住宅セーフティネットの再構築」指針にもありません。現状の区営住宅供給で「住宅確保要配慮者」に対応できているのですか。具体的にお答えください。また、すでに十分需要を満たしているというならその根拠を示してください。

Q10 応募倍率は、区営住宅では昨年度5.1倍、今年度9月1日時点では4.6倍、高齢者住宅みどりの里は、昨年度単身用が8.2倍、今年度8,5倍、2人用は同じく6.9倍、6.0倍ではありませんか。この倍率を、どう受け止めているのですか。
 
Q11 杉並区住宅基本条例第9条「住宅の供給」では、区は次の各号に掲げる住宅の供給に努めるものとし、公営住宅法に基づき、区が設置する住宅をあげています。今こそ、この実行が求められていますが、どう対応するのですか。

 関連してうかがいます。
Q12 区の住宅マスタープランでは「住宅セーフティネットの再構築」の達成を図る指標のひとつに「特別養護老人ホーム確保定員」をあげています。
 しかし「住宅セーフティネット」とは、「杉並区総合計画」の注釈では、自力で住宅を確保できない方の健康で文化的な生活を営むに足りる住宅の確保に対し、行政が関与・支援する体制を整備すること」としています。そうであるならば、住宅セーフティネットに特養ホームを位置づけることは不適当ではありませんか。
 私が見た限りでは、東京都も近隣区も、住宅マスタープランで、特養ホームを住宅対策に位置づけている自治体はありません。区長、おかしいとは思いませんか。いかがですか。

Q13 公営住宅に入れない方から言われることは、収入等入居資格を満たしていながら、抽選の結果によって、公営住宅に入居している人と同じ支援を、長期にわたって受けることができないことは不公平、不公正ではないかということです。こうした声は当然のことだと思います。
 しかも、冒頭紹介した声にあるように、年金が少なく、かつそれを補うパートなどの収入が切られたり、収入の大部分が家賃で消える、あるいは、収入が家賃を賄えない事態になる世帯に、どうやって暮らしていけと区はいうのですか。お答えください。

 この点で、私は、イギリスやフランスでは、公営住宅の供給と家賃助成がいわば車の両輪策として行われているという論文に注目しました。イギリスの場合、全戸数に占める公営住宅の割合は19%、家賃補助世帯数は19%。フランスの場合も全戸数に占める公営住宅の割合は17%、家賃助成は23%と紹介されていました。
 これは国レベルの問題ですが、ただ23区のなかでも17区で、部分的、あるいは限定的なものでも何らかの家賃助成を実施していることは注目すべきと思います。主に高齢者や介護高齢者を対象とした助成が4区、高齢者優良賃貸住宅への助成が5区、子育て世帯対象が3区、さらにひとり親、障害者、学生、勤労単身者などです。区民意向調査にも「低収入、無収入者向けの家賃・光熱費支給を希望する」との要望があがっています。

Q14 コロナ禍のもと、区としても期間限定でも家賃助成を検討すべきではありませんか。また、優先施策として、年金、無年金生活者で、家賃が年金の相当分を占め、明らかに生活が困窮している世帯への家賃助成を検討すべきではありませんか。また、国、都にも求めるべきではありませんか。以上お答えください。

<答弁>

・住宅に関する諸原則に対するお尋ねですが、「衣・食・住」が人々の日々の生活で大切なことであると一般的に言われているように、住居は、人々が日々の生活を営むために最低限必要な者の一つであると理解しています。
「杉並区住宅基本条例」も含め、様々住宅に関する諸原則において、住宅が人々の生活にとって不可欠であることを表現しているものと認識しています。

・公営住宅と民間賃貸住宅等に関するお尋ねですが、平成30年住宅・土地統計調査によると、借家世帯数は、171,530世帯。借家世帯のうち、公的住宅が占める比率は約3%、民間賃貸住宅が占める比率は約92%となっております。
 また、65歳以上の一人暮らし高齢者世帯における借家世帯数は、12,780世帯、一人暮らし高齢者世帯全体に占める比率は約36%となっております。

・住宅要配慮者に関するお尋ねですが、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」において、低所得者や、高齢者、障害者、子育て世帯等自力で住宅確保が困難な世帯が示されています。また、低所得者の判断基準となる収入は、月額15万8千円を超えないものとなっております。
 なお、住宅確保要配慮者が公営住宅の入居対象者となるためには、その他の入居資格をすべて満たす必要がございます。
 また、住宅マスタープランにおける住宅確保要配慮者の世帯数について、数は把握していませんが、住宅確保要配慮者のうち、高齢者世帯の占める割合は高く、高齢化の進展により、今後も増加すると見込んでおります。

・家賃が生活を圧迫するような世帯に対する支援に関するお尋ねですが、これまでも、相談者の希望する条件に沿った住宅情報をアパートあっせん事業を通して提供するとともに、相談の中で必要に応じて、福祉との連携を図りながら、住居だけでなく、生活の支援に結び付けております。

・都営住宅の空き部屋に関するお尋ねですが、これまでも東京都では、災害等が発生し住居を失った方々への対応として、都営住宅に、ある程度の部屋を確保しております。
 今般の新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえ、都営住宅の家族向け毎月募集において、通常は、若年夫婦・子育て世帯等を対象としておりますが、令和3年1月から3月に限り、一般世帯も申込の対象とし、募集戸数を拡大する臨時的な対応等を実施しているところでございます。

・都営住宅、区営住宅の供給に関するお尋ねですが、令和2年4月1日時点で、都営、区営住宅の供給戸数は、4006戸、世帯当たりの供給率は約1.2%で、23区中19位となっております。 また、賃貸住宅に占める都営、区営住宅を合わせた比率は、平成30年住宅・土地統計調査によると、約2.2%となっております。

・都営住宅の供給拡大に関するお尋ねですが、これまでも都営十tカウの建替えの際に実施される要望調査で、地元割当の実施やシルバーピアの整備を求めております。
 また、区営住宅におきましては、今後、建替えを実施する際に、高齢者単身世帯やひとり親世帯などの需要に即した住宅供給を検討してまいります。

・住宅確保要配慮者に対する区営住宅の供給に関するお尋ねですが、区営住宅へ入居を希望する方が多いため、なかなか入居が難しい状況となっております。そのため、民間賃貸住宅のストックも有効活用しながら、引き続き、居住支援を実施してまいります。

・区営住宅及び高齢者住宅みどりの里野応募倍率に関するお尋ねですが、東京都の応募倍率と比較しますと、区の応募倍率は低くなっておりますが、区は、あらかじめ、空き室まち登録者を募集しておき、空き室が生じたときに、修繕を行い、なるべく早く区民の方が入居できる体制をとっています。
 従いまして、空き室町登録機関内に希望する区営住宅に空き室が生じない場合は、当選した方でも入居が叶わないという課題もあると認識しています。

・区住宅基本条例における住宅の世知に関するお尋ねですが、今後とも東京都へ適切な住宅供給を求めていくとともに、民間賃貸住宅ストックの活用も含め、住宅の供給を進めてまいります。
 また、今後、区営住宅の老朽化による建替えを実施する際には、一人暮らしの高齢者の増加等に対応できる単身世帯住宅の確保など、検討してまいります。

・住宅セーフティネットにおける特別養護老人ホームの位置づけに関するお尋ねですが、特別養護老人ホームは、在宅の生活が困難となった要介護の高齢者や、その家族にとって、広い意味での住宅セーフティネットと捉えることはできると考えますが、ご指摘の通り、生活の拠点と位置づけることについては、課題があると認識しております。
 従いまして、今後は新たな基本構想を踏まえ、次期住宅マスタープランの改定の中で検討してまいりたいと存じます。

・収入の少ない世帯に関するお尋ねですが、これまでも答弁させていただきました通り、区におきましては、窓口相談等になかで、アパートあっせん事業を通し、相談者の条件に沿った住宅情報を提供しております。
 また、収入等が大幅に減り、生活に困窮しているということであれば、必要な福祉との連携も図りながら、生活の支援へ結び付けてまいりたいと存じます。

・家賃助成に関するお尋ねですが、この間もお答えしておりますとおり、区では、家賃助成制度を創設する予定はございませんが、国は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で収入が減少し、生活に困窮するかたへ住宅確保給付金の支給を行っています。また、区では、住宅確保要配慮者への住まいの確保につきまして、居住支援協議会での不動産関係団体などとの連携による民間賃貸住宅ストックの活用や、福祉部門野各施策との連携など、様々な取組に努めております。引き続き、区民のかたが安心して住むことができる住宅の確保に向け、官民一体で取り組んでまいります。

 続いて、ジェンダー平等について質問します。
 私は、昨年の第1回定例会でもこの問題について質問しましたが、その後の1年間は、世界でも日本でも、ジェンダー平等をめざす運動が大きく広がりました。
しかし、日本のジェンダーギャップ指数は、153か国中121位と立ち遅れているうえに、新型コロナウイルスの感染拡大によって、女性たちがさらに深刻な事態に追い込まれていることを見なければいけないと思います。
 その一つは、雇用と生活の危機です。1月29日に総務省が発表した労働力調査によれば、昨年1年間の平均の非正規労働者数は、前の年と比べ75万人減少しましたが、そのうち7割近くを占める50万人が女性でした。女性の非正規の就業者が多い観光、宿泊、飲食業などが大打撃を受けたことによるものです。また、野村総研は、女性のパート・アルバイトで、仕事が半分以下に減り、休業手当も支払われない「実質的失業者」は90万人にのぼるという衝撃的なリポートを発表しました。
私たちが取り組んでいるアンケートにも「ホテル勤務であったために、昨年2月以降仕事が全くなくなり、常勤でなかったので会社からの保障はなく、どこからも助けてもらえず借金しています」などの声がよせられています。
 二つ目は、家庭内労働による負担の増加です。一律の学校休校や保育園の休園などにより、家事や育児の負担が増大し、その多くが女性に集中しました。さらにリモートワークによる負担も重なりました。アンケートでは、「夫婦ともにリモートワーク、保育園休園により、家事、仕事、育児がすべてのしかかりました。本当に辛かったです」という声がよせられました。
 三つ目は、家庭内暴力が増加したことです。外出自粛や経済的不安によるストレスで、夫がいらだつことが多くなり、妻や子どもに暴力をふるうケースが増加したと報道されています。さらに見過ごせないことは、女性の自殺者の急増です。昨年10月の女性の自殺者は全国で852人と、前年同月比で8割も増加し、同時期の男性の増加率約2割を大きく上回っています。
 
Q1 これまでも、就労や家庭内の労働で、困難や負担を背負ってきた女性が、新型コロナ感染拡大の長期化のもとで、さらに追い込まれるという事態が起きていることについて、区長はどう認識していますか。

Q2 私は、こうした事態を放置してはならないと思います。雇用問題でいえば、改めて、非正規雇用の正規化、賃金格差の是正、一方的な非正規切りの是正など、国に対策を強く求めるべきではありませんか。

Q3 家事、育児、教育、介護など、女性の負担解消のために、区はどのように取り組んでいるのでしょうか。さらに、今後、取組をどう強化していくのですか。

Q4 関連して、杉並区区民意向調査の自由意見欄の記載には、子育てへの支援について様々な要望が記載されています。例えば、子育て応援券についてオムツやミルクの購入等、使える幅を広げて欲しいなどの要望は複数ありました。この自由意見欄は、「杉並区に対するご意見や要望がありましたら、ご自由にお書きください」と書かれており、区としての検討が求められています。寄せられた要望に対して、どのように検討し、対応するのか、うかがいます。

 次に、ジェンダー平等の実現にとって、深刻で重要な課題であり、さらにコロナ禍のもとで、深刻さを増しているDVや児童虐待への対応について、具体的にうかがいます。
 内閣府研究会のデータでは、昨年5月から6月のDVの相談件数は前年同月比の約1・6倍で、4月から9月の性犯罪・性暴力の相談件数も前年同期比の約1・2倍となったことが示されています。

Q5 コロナ禍のもと、杉並区における児童虐待の相談件数および前年との増減はどうなっていますか。さらに、今後、虐待防止の取組について、どう強化していくべきと考えているのでしょうか。

Q6 また、DVの相談件数、前年度との比較、相談体制についても、どうなっているのか、お答えください。

 私たちのアンケートには、ストレスや悩みがたまっても、誰とも話すことができず、相談することができないという声が寄せられました。相談機関の周知、体制の強化は、これまでにも増して大事になっていると思います。
平成29年の区の調査では、配偶者暴力相談支援センターやDVダイヤルを知っていると答えた人は5%前後でした。

Q7 区は、昨年の私の質問に対し、相談窓口のリーフやカードを作成し、区の施設や大学、医療機関に置くとともに、広報やホームページで周知に努めていると答えましたが、コロナ禍のもとで、さらに周知を強化する必要があると思います。いかがですか。

Q8 区は、DV対策の推進として、各相談窓口や関係機関との連携体制を更に強化し、総合的な支援体制の充実を図るとしていますが、具体的にどのように取り組んでいるのですか。

Q9 また、一時保護から自立までの支援の充実については、具体的にどのように取り組んでいるのか、また、今後どう推進していこうとしているのか、うかがいます。 
 
 次に、ひとり親家庭への支援についてです。
昨年12月に「杉並区ひとり親家庭実態調査」報告書が発表されましたが、母子世帯の45.7%が年収300万円以下で、貯金額では10万円未満が26%、住宅では母子世帯の場合半数近い45.2%が民間賃貸住宅であること、家賃負担では8万円から11万円未満が37.2%、11万円以上が35.8%と報告されています。そして現在の悩みや困りごとの第1位は「家計(生活費、家賃、養育費等)に関すること」で、61.3%でした。

Q10 調査結果から、経済的支援の強化が求められていることは明らかです。自由意見欄にも「コロナの影響で収入が減った。追加給付金だけでなく、継続的な支援をしてほしい」「ひとり親家庭等ホームヘルプサービスの利用を希望していたが、コロナ禍により頓挫している状況。毎日の子育て、家事、仕事により疲弊している」などの声が記載されています。区はこの調査結果をどう受け止め、どう取り組んでいくのですか。

Q11 年収300万円の場合、月額の収入は25万円となりますが、そこから10万円の家賃を負担するとなれば、生活が圧迫されることは明らかです。公営住宅や家賃助成などの支援策は急務と思いますが、どうお考えですか。
 
 次に、「選択的夫婦別姓」の導入と「世帯主」既定の廃止についてうかがいます。
 同姓を法律で強制している国は世界で日本だけで、しかも女性が改姓するケースが96%と圧倒的多数です。改姓は、通帳などの名義変更にかかる膨大な労力などをもたらすだけではなく、今までの自分が失われてしまったような感じを持つ人も多いといわれています。わが党区議団のアンケートにも「結婚によって姓を変えることが非常にわずらわしく、それ以上にアイデンティティを失うようで抵抗感がありました」との声が寄せられました。
 選択的夫婦別姓は、別姓を選びたい人は別姓にできるというもので、同姓にしたい人にとってはこれまでと何も変わらず、不利益もおこりません。国連の女性差別撤廃委員会からも、夫婦同姓の義務づけを見直すように、何度も勧告されていますが、第5次男女共同参画計画で。
しかしながら、近年、選択的夫婦別姓の実施を求める世論が高まっています。
 2018年の内閣府の調査では選択的夫婦別姓に「賛成」は43%で、「反対」の29%を上回り、50歳代以下では賛成が半数を超えています。また、選択的夫婦別姓制度の導入などを求める意見書を可決した地方議会は、これまで178にのぼります。
 
Q12 区長は、こうした選択的夫婦別姓を求める世論の高まりをどう受けとめますか。お答えください。

 コロナ対策で、一人一律10万円の特別定額給付金が、原則として世帯主の口座に家族全員分振り込まれたことに対し、「なぜ自分の10万円を引き出すのに夫に頼まなければならないのか」などの声が上がりました。
「世帯主」について、一般は、主に世帯の生計を担っている人で、社会通念上妥当と認められる人ということになっていますが、これは、戦前の封建的な「家制度」の「戸主」を引き継いだもので、法的裏付けはありません。

Q13 夫婦のどちらかを「主」にして上下関係を持ちこむ「世帯主」制度は、婚姻における両性の本質的平等と個人の尊厳を定めた憲法24条の理念に反するもので、ジェンダー平等社会を実現するうえで大きな弊害と考えますが、区長の認識はいかがですか。

 次に、同性パートナーシップ制度についてうかがいます。
同性パートナーシップ制度は、同性のカップルを「結婚に相当する関係」と認めるもので、導入した自治体では、公営住宅への入居、緊急時の病院での面会や病状説明を受けることなどが可能になっています。制度を導入した自治体は、昨年1月時点34自治体から今年1月72自治体へと2倍以上に増えています。

Q14 昨年の一般質問でも、区に対し、制度の導入を求めましたが、他自治体の動向を注視する旨の答弁でした。この1年だけをみても導入する自治体が急速に広がっていることをどう認識していますか。区内の当事者からも制度の導入の要望が区長に届けられていると思います。ぜひ実施に踏み切ってほしいと思いますが、いかがですか。
 
最後に、政策・意思決定の場への女性登用の促進についてうかがいます。
 「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性を増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらない」。東京五輪パラリンピック組織委員会の森会長の発言は、様々な意思決定の場で女性が積極的に活躍することを拒否するあからさまな差別発言にほかなりません。会議での女性の活発な議論を敵視する姿勢は、多様な意見表明を保障する民主主義の否定にも通じる重大な発言です。
 日本のジェンダーギャップ指数が極めて低い位置にあるのは、政治・経済の分野で指導的地位に女性が占める割合が極端に低いためです。いま、国際社会は、意思決定の場に女性の参加を増やす努力を積極的に行っており、日本も、その遅れを取り戻そうと努力をしているときに、水を差し嘲笑するような発言は許されるものではありません。
 国内外からの高まる批判に追い込まれ、ようやく辞任の意向を表明しましたが、森氏の暴言を止める者がいなかったJOCや、擁護し続けた菅政権の責任が厳しく問われます。これを機に、『ジェンダー平等・後進国』日本の社会の歪みをただす取り組みが一層重要になっています。

昨年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」で、「2020年までに指導的地位に女性が占める割合」30%という従来の目標を「2020年代の可能な限り早期」と先送りしましたが、国連など国際社会は2030年までに男女50%50%、完全な平等をめざしています。
Q15 杉並区では男女共同参画行動計画とともに、女性活躍推進法にもとづく行動計画を策定していますが、この計画では、管理職に占める女性職員の割合を2020年度すなわち今年度目標で20%以上としています。また、係長級に占める女性職員の割合は45%以上という目標ですが、この目標は達成されたのですか、最新到達をお答えください。

Q16 審議会等における女性委員の登用については、男女共同参画基本計画の目標では2021年度までに40%としていますが、どこまで到達したのですか。

Q17 そもそも20%、40%という目標は、あるべき姿としては低いものだと思います。
他区では高い目標かかげている自治体もあり、より高い目標を設定すべきと思いますが、どのように検討されていますか。

Q18 そのためには、女性が管理職として活躍できるような条件整備が大前提です。どのように取り組んでゆくのか、うかがい、質問を終わります。

<答弁>

・国は、新型コロナの感染拡大によって特に女性への影響が深刻であることから、昨年9月に「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」を発足し、本年3月春を目途に必要な対策等をまとめ、今後のコロナ対策や男女共同参画基本計画に反映させることとしています。
 この研究会では、国の統計を基に、非正規雇用労働者を中心として女性の就業者数が大きく減少していることや、DV・性暴力野増加・深刻化、女性の自殺者数が増加していることなどが報告されているところです
 これらに関する本区のデータの推移は明らかになっておりませんが、引き続き、国の動向等を注視するとともに、来年度に予定している男女共同参画に関する調査等を通して区内の実態把握に努め、現在行っている産前・産後における母子支援や、ひとり親家庭等に対する各種支援、家族介護者支援など、女性に対する支援の推進につなげていきたいと存じます。

・これまでも区では、特別区長会等を通じて、労働者の収入確保や雇用対策について国へ要望しており、今後とも、機会をとらえて適切に対応してまいりたいと存じます。

・区民意向調査の結果につきましては、すべての部・課に送付しており、区民の方から自由意見欄に記載された意見・要望についても、ご指摘のあった子育て支援に関するものに限らず、関係する書簡において、しっかりと受け止め、施策・事業の参考とさせていただいております。

・コロナ禍での区における児童虐待相談件数ですが、12月末時点での合計件数は879件で、昨年と比較すると、155件の増加となっており、特に10,11月は大幅に増加しています。今後は、職を通じて定期的に子どもの状況把握を行う事業を実施することなどにより、子どもの見守り体制の強化を図ります。

・令和2年1月から12月までのDV相談件数は、1861件で、その前年同時期に比べ728件減少しています。これらのDV相談については、各保健センターや子ども家庭支援センター等が把握した事案も含め、配偶者暴力相談支援センターに位置づけている男女平等推進センター及び3か所の福祉事務所が核となって、関係機関と連携しつつ、対応を図っているところです。
 ご指摘のとおり、DV被害者が速やかに相談できるよう、区のDV相談体制の周知を図ることは重要と考えておりますので、区のホームページや広報に加え、SNS等を活用した周知にもとりくんでまいりたいと存じます。

・福祉事務所、保健センター、子ども家庭支援センター等の各女性相談窓口の職員間で行う連絡会において、個別ケースの検討や、相談内容の傾向・分析などの取組を通して事例対応の蓄積と連携強化を図っております。

・要保護者からの相談には、福祉事務所の女性相談員が当事者の安全を確保したうえで、生活に困窮する方には生活保護のケースワーカーとともに、安全な場所で自立した生活ができるよう支援を行っています。
 今後も引き続き、個々の当事者の意思を尊重しながら、安心して生活が送れるよう、支援をしてまいります。

・ひとり親実態調査は、今後のひとり親家庭支援策の充実に向けた基礎資料とすることを目的に5年に1度実施しており、ひとり親家庭の生活の実態や課題を把握することができたものと受け止めております。
 調査結果につきましては、来年度から養育費確保支援事業を実施するなど、迅速に反映するとともに、その他必要な施策については、次期総合計画等の策定のなかで検討してまいります。

・家賃負担が大きく収入の少ないひとり親家庭への支援策に冠するお尋ねですが、区営住宅の空室待ち登録者の募集にあたって、ひとり親世帯については、当選率の高くなる優遇抽選を行っております。
 また、繰り返しになりますが、アパートあっせん事業における住宅情報の提供や、必要に応じた福祉との連携により、生活の支援に結び付けてまいりたいと存じます。

・ご指摘の内閣府による調査結果では、同制度に対する賛成・反対の回答はともに過半数に達していないことに加え、「夫婦の名字が異なると子どもに好ましくない影響があると思う」とする回答が63%を占めるなど、国民のあいだにも様々な意見があるものと認識しています。
 また、住民基本台帳法に基づく世帯主の定義は「主として世帯の生計を維持するものであって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当と認められる者」と解されており、世帯主となることに性別や年齢による制限はないことから、ご指摘のような弊害があるとは考えてございません。

・同性パートナーシップ制度を導入する自治体が増えていることにつきましては、それぞれの自治体が、住民の意識や議会の意見等を踏まえて対応したものと受け止めています。
 区におきましては、昨年1月におこなった「「性的少数者についての区政モニターアンケート調査結果」に加え、区議会でも様々な議論があることから。現時点において、同制度の導入を図る考えはございません。

・管理職及び係長級に占める女性職員の割合についてですが、今年度の実績では、管理職は19.3%、係長級は45.9%となっており、設定した目標は、ほぼ達成したと考えております。現在、本計画の改定作業を行っており、改定後の計画においては、より高い目標設定を行う予定です。
 女性管理職が活躍できるような条件整備についてですが、平成27年度の職員意識調査で、係長級の女性職員が管理職昇任をためらう理由として最も多かったのは「仕事と家庭の両立が難しくなる」ということでした。この結果を踏まえ、より早期からの働きかけを行うことが効果的と考え、係長級昇任を控えた女性職員等を対象に、昇任に対する不安の軽減を図るため、先輩女性係長から家庭生活とのバランスのとり方を含め、自らの経験を話してもらうセミナーを開きました。参加した職員からは、気持ちが前向きになれたと好評でしたので、今後も同様の取組を行っていきたいと考えています。

・本区における附属機関等の女性委員の割合は、令和2年4月1日現在36.3%で、前年同時期よりも0.8%の増となってございます。