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2024年第1回定例会一般質問「ジェンダー平等について」「教育について」「自転車活用の推進について」質問全文と答弁の概要   

 日本共産党杉並区議団を代表し、ジェンダー平等について、教育について、自転車活用の推進について、質問します。

1.ジェンダー平等について

 企業による男女賃金格差の公開制度の開始、性暴力の根絶に向けた不同意性交等罪の創設、同性婚や性別変更の手術要件を巡り当事者に寄り添った画期的な司法判決など、日本でもこの数年、ジェンダー平等と女性の権利をめぐる大きな変化が起こっています。選択的夫婦別姓を求める運動、LGBTQ+など多様な性を認め合う社会にむけた動きも広がっています。
 その一方、日本のジェンダーギャップ指数は、2023年、146か国中125位で、前年の116位から9ランクダウン。順位は2006年の公表開始以来最低となりました。日本政府には、ジェンダー平等に向けた本気の取組が求められます。
 杉並では、岸本区長のもと、性の多様性条例の制定、パートナーシップ制度の創設、学校トイレへの生理用品の配布、区役所におけるハラスメントゼロ宣言など、取組が前進していることは重要です。
 私は、これまでもジェンダー平等の諸課題について取り上げてきましたが、今回は、女性支援法施行にあたっての対応、性暴力被害をなくす取組について質問します。

 2022年に成立した「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下、女性支援法と言います)が今年4月から施行されます。これまでの売春防止法による取り締まりや保護更生を目的とした支援から、「意思の尊重」「人権擁護」「男女平等の実現」へ、女性支援の理念を大きく転換するものです。
 新法では、「困難な問題を抱える女性」の定義について、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活または社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性、その恐れのある女性を含む、とし、支援にあたっては、若年世代から子育て世代、中年高齢世代と、幅広い年齢層の女性それぞれのライフステージに合わせて、各関係機関や民間団体等とも連携し、支援対象者の立場に寄り添った支援を行うことが必要であるとしています
 区としても、差別や人権侵害をうけやすい女性の実態をつかみ、教育を受ける権利の保障、安定した雇用や住まい、健康支援などの支援策の拡充が必要です。

Q1
 2022年第3回定例会で、女性支援法の施行に向け、どのように施策を発展・強化させていくのかとの私の質問に対し、区は「国の基本方針策定の動向を注視しながら、関係所管による情報共有と連携を図り、今後の取組を研究していく」と答弁しました。杉並区として、この間、どのように研究されてきたのかお答えください。また、自治体の基本計画策定は努力義務となっていますが、杉並区の計画策定の状況についてうかがいます。

Q2 私たちのところには、生活に困窮し社会的にも孤立している若い女性や、低年金で重い家賃負担に苦しむ高齢女性などから相談が寄せられます。困っていても、どこに相談していいのかわからない、あるいは、行政に相談しても聞いてもらえるのだろうか、という不安を抱えている女性が多いのではないでしょうか。
 新法施行にあたり、困難を抱えている女性全てに支援を受ける権利があることを積極的に知らせることが重要ですが、いかがですか。

Q3 現在、女性相談については、3福祉事務所で実施していますが、例えば〝女性相談センター〟といったわかりやすい相談窓口を設置するとともに、相談員のスキルアップや相談体制の充実を図る必要があると考えます。区の認識と対応についてうかがいます。
 
Q4 新法では、地方公共団体の努力義務として、支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関、民間団体その他の関係者により構成される会議として、「支援調整会議」を組織することが定められています。杉並区は、どのように取り組むのですか。

Q5 困難な問題を抱える女性への支援とともに、今後は、女性が生き生きと力を発揮できる女性政策を広く進めていくといった視点で、区は臨む必要があると考えますが、いかがですか。

 故ジャニー喜多川氏が、半世紀にわたり、数百人におよぶ子どもへの性加害を行っていた問題は、社会に大きな衝撃を与えました。性暴力は「魂の殺人」とも言われ、被害者は大きなトラウマをかかえ、生涯にわたり苦しみ続けることになります。
 2023年6月の内閣府の「こども・若者の性被害」調査では、性交を伴う性被害に遭った人のうち、最初の被害年齢は、中学生以下が24%と深刻な実態が明らかになりました。
 子どもは、性暴力を受けても、それが被害だと分からないことが多く、性被害の当事者団体Springの調査では被害と認識できるまでに平均で7年程度かかっているという結果がでています。 被害にあっても「人に知られてはいけない」と思ったり、加害者が身内の場合、「自分さえ我慢すればいい」などと思い込んで、被害が顕在化せず長期化する場合もあります。

Q6 性被害に関し、子どもたちが相談できる環境整備が必要ですが、区では、どのように取り組んでいますか。

 子どもや女性にとって、最も身近な性暴力が痴漢です。
 日本共産党東京都議団が痴漢対策を繰り返し求めてきたことを受けて、東京都は初めて大規模な痴漢被害の実態把握のための調査を行いました。昨年12月25日に公表された調査結果では、痴漢被害に遭ったことがある女性が4割を超える深刻な実態が浮き彫りになりました。
 被害場所で最も多いのは電車内で、被害者の76%は、小学生から大学生でした。
 電車内で被害を受けた時の対応では「我慢した・なにもできなかった」が最多で40・7%、被害届けを出したか、相談したかについては、「誰にも相談していない」とした人が被害直後で62・4%、被害のしばらく後でも71・3%という結果でした。
 被害の心身への影響については「フラッシュバックすることがある」「電車に乗れなくなった・駅構内(ホーム)にいるのが怖くなった」など日常生活への深刻な影響が示されました。
 一方、痴漢行為に気づいた場合に、周囲の人が助けてくれたと回答した被害者は5〜6割で、助けた方法としては、①直接、加害者に注意した ②被害者に、大丈夫ですか、困っていますか、具合が悪いですか等などの声をかけた ③被害者に、こっちに来なさいなどと声をかけ、加害者と引き離す等が挙げられました。第三者が対応を取った場合に、痴漢が止まったとする被害者の回答は9割を超えました。
 性暴力等に対し、第三者が見て見ぬふりをせず、被害を軽減したり、未然に防ぐため、状況に応じて行動する人は、アクティブバイスタンダー、行動する傍観者と呼ばれています。

Q7 痴漢被害など性暴力をなくしていくために、アクティブバイスタンダーを増やしていく取組が重要と考えます。区の認識と対応についてうかがいます。

 調査結果に基づいた痴漢撲滅に向けた施策検討の方向性では、予防策について「若年層への包括的性教育の普及推進が、痴漢防止への意識醸成へとつながる」と、強調しています。
 しかし、日本では包括的性教育はおろか、性教育さえも圧倒的に足りていません。現在の学習指導要領では、人の受精や妊娠の過程は取り扱わないものとする、という「はどめ規定」があります。しかし、性交を教えずに性暴力や性被害とはどういうものなのか、子どもたちは理解できるのでしょうか。
 2018年、東京都教育委員会が実施した性教育につ関する管理職の意識調査では、「教員は性教育について自信を持って指導しているか」との問いに、「そう思わない」または「あまりそう思わない」という回答は49%、また「保護者は家庭において子どもに対して性に関する指導を行っているか」という問いには、「そう思わない」と「あまりそう思わない」という回答があわせて85%でした。非常に心許ない数字だと思います。
 
Q8 性教育の取組として、東京都教育委員会は、産科医を招へいした「性教育の授業」を行っており、今年度、杉並区でも中学校1校で実施したときいています。今後、多くの学校で、産科医や助産師など専門家による性教育を広げるべきと考えますが、いかがですか。

Q9 性教育にしても、包括的性教育にしても、多くの大人は学校で学んできていません。性暴力、性被害を根絶するためにも、ユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に基づいて、性に関する知識だけでなく、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、暴力と安全確保、健康まで含めた「包括的性教育」を大人も学ぶことが必要と考えます。区の認識はいかがですか。区として、積極的に、大人向けの包括的性教育の講座など取り組むことを求めますが、いかがですか。

2.教育について
 次に教育について、教員不足、不登校について質問します。
 教員不足が大きな社会問題となっています。

Q1 杉並区の教員の方から「今年度、数校で欠員が生じ、区費教員や時間講師で対応した。2022年度は、産育休代替、病休代替の欠員が見つからず、空き時間の先生や副校長などでやりくりした」とお聞きしました。杉並区の教員不足の現状はどうなっているか、また、どのように対応しているのか、うかがいます。

 教育職は、本来やりがいのある、身分も安定した職業です。にもかかわらず、こうした事態が起こっている最大の要因は、学校での異常な働き方、長時間労働が改善されずにいるためです。少ない教員で過大な業務を担っているため、多くの教員は平日一日平均12時間近く働き、土日も出勤している状況だと伝えられています。こうした働き方になっているため人が集まらないのです。教員の病気休職も大幅に増え、早期退職も止まりません。免許保有者は教員になることをためらい、多くの教育系学生が教職以外の道を選ぶようになったと言われています。 

Q2 教員不足の解決のためには、政府が予算を投入し、教員定数を増やすことが不可欠です。1日に受け持つ授業数でみた現在の教員定数は、教職員定数を定めた義務教育標準法の制定時と比べ2割も足りていないことが指摘されています。ここを放置している限り、政府がいくら「働き方改革」を叫んでも成果は出ないと考えますが、区教委の認識をうかがいます。国や東京都に対し、教員定数を増やすよう求めるべきですが、いかがですか。

Q3 教員定数は、義務教育標準法に基づき、国と東京都で決めているため、杉並区だけで教員不足を解決することは出来ませんが、区独自の努力も求められます。臨時的任用教員の募集など、どのように取り組んでいるのか伺います。また、杉並区には区費教員が現在56名います。区教委は、今後、増やす考えはないと答えていますが、現状を考えれば、区費教員の増員が必要ではありませんか。
 
 教員の負担を可能な限り減らすことも重要です。

Q4 杉並区では、スクールサポートスタッフの配置や部活動の外部指導員の導入等を行い、教員の負担軽減を図っているとしていますが、教員からは、研修報告書の簡素化や廃止、多すぎる学力テストの精選、体力テストを5・6年のみの実施とすること、道徳授業の地区公開講座をやめることなど、諸行事の削減や精選を求める声が届いています。区教委としては、どう認識していますか。

 今日の危機的な教員不足の事態を招いたのは、政府が教育予算を低く抑えてきたためです。 
 日本の教育費への公的支出は、OECD諸国37カ国中、下から2番目です。しかも、公立学校の教員は、どれだけ残業しても1円も残業代が出ないという「定額働かせ放題」になっています。
 1971年、自民党政府は、公立学校の教員に残業代を支給せず、その代わりに給与額の4%を新たに支給するなどの法律(公立学校教員給与特別措置法=給特法)を、当時の全ての野党の反対を押し切って成立させました。
 「残業代がなくなれば労働時間が無定量になってしまう」との指摘に、当時の文部大臣は「先生たちを追い詰めるようなことはしない」と主張しました。しかし、その後の経過をみれば、どちらが正しかったのかは明らかです。現在、国では、見直しの議論が行われ、自民党からは、残業代の不支給は変えず、調整額を4%から10%以上に引き上げる案が出されていますが、月1万数千円程度の追加支給で「定額働かせ放題」を続けるものです。根本的な解決にはなりません。

Q5 残業代をきちんと支払う法改正を、国に求めるべきですが、区教委の見解をうかがいます。
 
 文科省が昨年10月に公表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、小中学校の不登校の児童生徒数は29万9048人で過去最多となりました。杉並区でも不登校の子どもは毎年増え続けており、2017年度は小中学校あわせて346名でしたが、2022年度は897名と、5年間で2.5倍以上増えています。
 私は、この数字は、一言で言って、学校がいかに息苦しい場になっているかが、示されたものではないかと思います。
 不登校の子どもを支える活動をしているNPO法人が昨年行ったアンケートでは、不登校の子どもの保護者から「学校が忙しすぎる。分刻みのスケジュールで休み時間も着替えや移動に追われ、トイレに行くのがやっと。とにかく急がされるので子どもが疲弊している。先生が忙しすぎてその大変さが子どもに伝わる」という声が寄せられました。不登校の直接の要因は様々あるにしても、問題の背景には、競争の激しい社会や教育、子どもの人権がないがしろにされている実態があるのではないでしょうか。

Q6 国連子どもの権利委員会からは、日本の教育システムがあまりに競争的なため、子どもたちから、遊ぶ時間や、体を動かす時間や、ゆっくり休む時間を奪い、子どもたちが強いストレスを感じていること、それが子どもたちに発達上の歪みを与え、子どもの体や精神の健康に悪影響を与えていることが指摘され、是正を求める勧告が繰り返しだされています。教員も多忙で、子どもに向き合う時間が足りていません。まずは、こうした子どもたちの学校生活における環境を改善することが求められていると思いますが、区教委はどう認識していますか。

Q7 他自治体では、不登校になっている子ども、不登校を経験した子どもたちと保護者を対象に独自にアンケート調査を実施しているところもあります。学校に行きたくない、休みたいと思った理由や、誰かに相談したか、どのよう学校だったら楽しく通えると思うか、など、区独自にアンケートを行い、施策に生かすことが必要と考えますが、いかがですか。

 子どもが不登校になったことで、食費や水光熱費、フリースクールの授業料などの支出が増えた、また、保護者も仕事をやめざるを得なくなり収入が激減した、など、経済的な負担が増えたことが指摘されています。フリースクールに子どもを通わせている保護者からは、授業料助成を求める要望が寄せられています。
 東京都教育委員会の調査では、フリースクールの授業料の平均は月額約4万5千円でした。都教委は、2022年度、フリースクールに通う子どもの実態調査を開始し、協力した保護者に月1万円、23年度は月2万円を協力金として支給しています。報道によれば、来年度からは、額は変わりませんが、助成金として支給するとしています。

Q8 杉並区でフリースクールに通っている子どもの数や、そのうち都の協力金を受けている子どもの数は把握していますか。北区では、都の補助に加え、区独自に1万円上乗せして助成をしています。杉並区でも、フリースクール授業料の助成の検討を求めますが、いかがですか。
 
 新年度予算では、「スクールカウンセラーの拡充」、「スクールソーシャルワーカーの段階的な学校配置」が示されました。スクールカウンセラーについては、保護者から、「週1回では相談したいときにできない、相談がぶつ切りになってしまう」などの声や、スクールソーシャルワーカーについても一人当たり抱える件数が多いことから、わが党区議団としても繰り返し拡充を求めてきました。今回、拡充が打ち出されたことは重要な前進です。

Q9 スクールカウンセラーについて、現在の人数と来年度拡充される人数、各学校の配置日数がどのように変化するのか、うかがいます。
 福祉の専門知識を持ち、学校外の組織と連携して様々な困りごとを抱えた児童・生徒や家族を支える専門職であるスクールソーシャルワーカーについては、段階的な学校配置、ということですが、現在の体制からどのように変わるのか、配置される人数や日数、期待される効果などについて、お答えください。

Q10 杉並区実行計画では、不登校児童・生徒支援体制の整備として、来年度、校内別室指導支援事業の実施、学びの多様化学校の設置検討ということが示されました。
 不登校の子どもたちの居場所の確保のために、校内別室指導支援事業は重要です。杉並区では、現在も各学校で別室指導が行われているとのことですが、来年度以降は、どのように事業を展開していくのでしょうか。支援事業にふさわしい別室はきちんと確保されるのでしょうか。配置される指導員は、どのような人が採用されるのか。研修などは行われるのでしょうか。

Q11 学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の設置については、来年度以降検討としていますが、設置に向けて、どのように検討していくのでしょうか。

3.自転車活用の推進について
 最後に、自転車活用の推進について質問します。
 気候危機対策・ゼロカーボンシティ実現のためにも、さらには区民の健康増進のためにも、自転車利用の促進、安心して自転車を利用できるまちづくりが求められています。杉並区は「自転車活用推進計画」を策定中ですが、基本的な問題にしぼって質問します。
 
 自転車活用推進計画の策定は、2016年、衆参全会一致で成立した自転車活用推進法にもとづいて策定するものです。質問にあたり、私なりに区内の自転車台数等を調べてみましたが、法施行以降、減少傾向に見えます。
 自転車に関する区政モニターアンケートでは、2017年度、「よく使用する」「時々使用する」の回答者はあわせて63%だったのに対し、昨年2023年の調査では「ほとんど毎日」と「週に数回」の回答者は43.9%と減少しています。また、自転車の防犯登録台数をみると、2013年は78万9688台でしたが、2022年度は63万7728台、9年間に15万台減少しています。

Q1
 国が自転車活用推進法を制定し、区は自転車利用総合計画、自転車ネットワーク計画を策定して自転車活用を推進しようとしているにもかかわらず、さらには人口が増加しているにもかかわらず、自転車防犯登録台数では減少していることを、区はどのように分析していますか。この状況を総括、分析し、「計画」の策定が行われる必要があると思いますが、いかがですか。

Q2
 区の「計画案」では、指標として「自転車を利用する区民の割合」を現状値・2022年度の64%から2030年度80%に引き上げることをかかげていますが、この「利用する」とは、「年に数回以上利用する」となっています。計画の趣旨からすれば、週1回以上程度で指標を設けるべきではありませんか。

Q3 さらに、今年度の区政モニターアンケートの自由意見では、自転車専用レーンの不備に対する批判ととともに、自転車利用者のマナーのなさに対する強い批判が示されました。こうした傾向は、今年度の「区民意向調査」の自由意見欄でも強く示されています。こうした区民の声に立脚した対策の強化、計画の策定が求められていると思います。区民の声をどう受け止め、計画に生かそうとしているのですか。

Q4 区民から強く要望されている交通ルールの徹底、マナーの醸成について、「計画」案では、第6章で「交通ルールを守り、譲り合う風土づくり」が打ち出されています。譲り合う風土については否定しませんが、今何よりも必要なことは、交通ルールを徹底することであり、この点でこれまで以上の対策が求められているのではないでしょうか。どう認識し、どのように対策を強化するのですか。たとえば、警視庁と連携し、交通ルールの講習会を徹底して開催すること、講習修了者へのワッペン提供などを行うべきと思いますが、いかがですか。

Q5 計画案にたいし提案したいことは、車優先から人と自転車優先への転換です。「自転車活用推進計画案」では、「限りある道路空間を自転車とクルマが譲り合う風土を醸成する」「フレンドリーまちづくり」を強調しています。
 お互い譲り合い、フレンドリーな関係は当然のことです。しかし、限られた空間のなかで自転車の移動空間を確保するためには、これまでの自動車優先の道路、都市構造から、歩行者、自転車利用者を大切にする道路、都市構造への転換こそ、いま求められているのではないでしょうか。認識をうかがいます。

Q6 その一番象徴的な現状が、区役所前の中杉通りの両側がパーキングメーターで塞がれ、車道での自転車の移動が状況や人によって困難な事態になっていることです。その結果、歩道は歩行者と自転車が接触しあうような状況となっています。もちろん荷捌き車両のためのパーキングの確保は必要ですが、現状の放置は許されないと思います。
 昨年の第1回定例会の一般質問でもわが党はこの問題をとりあげ、区もこの問題を認識し地域の方へのヒアリングを始めるとの答弁でした。改めて区はどう対応しようとしているのでしょうか。どこまで調査、検討がされているのでしょうか、答弁を求め、質問を終わります。

【答弁】
(区長) くすやま美紀議員の御質問のうち、女性支援法の施行を踏まえた区の姿勢等についてお答えいたします。
 まず、女性相談の窓口についてのお尋ねですが、私は、新法の施行にかかわらず、困難な問題を抱える女性がちゅうちょなく相談できる窓口が必要であると認識しています。御指摘の女性相談センターの設置については、まずは、相談者が福祉事務所や男女平等推進センターをはじめ、様々な相談窓口でどこでも相談できるよう、関連する区の相談窓口の担当職員が緊密に連携し、情報を共有しながら、それぞれの窓口において相談者に寄り添った対応を心がけてまいりたいと考えております。
 また、相談支援員のスキルアップについては、部署の垣根を越えて窓口での事例研究を行ったり、国や都が主催する様々な専門研修への参加を促すなど、自ら資質の向上を図ることのできる相談員の育成は急務であり、早急に対応してまいります。
 最後に、広く女性政策を進める視点で区は臨むべきとのお尋ねですが、困難女性へのセーフティーネットとして相談体制の充実は欠かせないものですが、女性が活躍できる環境をつくることで解消できる課題も多々あるものと思っております。私は、企業や自治体が活性化するためには、女性の力が絶対に必要であり、現に女性が活躍することで業績が上がっている企業もあるとの研究報告もございます。区においても、あらゆる分野で積極的に女性の登用を進めており、私も女性政策を進める視点が重要との認識を持っておりますので、私の基本姿勢の一つであるジェンダー平等を促進し、女性が安心して暮らせる杉並に向けて取り組んでまいります。

(保健福祉部長) 女性支援法施行に当たっての対応に関する残りの御質問にお答えいたします。
 まず、女性支援法施行に伴うこれまでの取組状況ですが、女性支援新法全国フォーラムへの参加をはじめ、豊島区や中野区など、先進自治体からの情報収集を行い、法が求める支援制度の内容や必要な組織体制等の把握に努めてまいりました。今月中に都が主催する同法施行に向けた区市町村説明会がございますので、関係職員を派遣し、法施行に向けての準備を整えてまいります。なお、御指摘の基本計画につきましては、策定は努力義務となっておりますが、今後示される都の基本計画等を踏まえ、関連する既存の計画との整合を含めて検討してまいります。
 次に、困難を抱える全ての女性に支援を受ける権利があることを積極的に周知すべきとのお尋ねにお答えいたします。
 御指摘のとおり、近年、困難な問題を抱える女性は、若年世代から子育て世代、中高年世代へと幅広い年代に広がっています。加えて、新法が規定するように、行政だけではなく、民間団体等との連携協力も視野に入れた継続的、重層的な支援を確実に届けることが何よりも重要です。このような視点から、区広報紙、パンフレットなど、紙面によるPRだけではなく、ホームページ、SNSなど、あらゆる世代に情報が行き渡るよう、新法が定める支援について広くPRしていくとともに、民間自立支援施設やケア24、民生児童委員などの力もお借りしながら、各地域で支援を求める一人でも多くの女性に必要な支援が行き届くよう努めてまいります。
 最後に、支援調整会議についての御質問にお答えいたします。
 困難を抱える女性を支援するためには、多くの場合、生活、健康、就労、育児等、様々な側面からのアプローチが同時に必要となります。新法では、このような複合的な課題に対し、行政だけではなく、地域を挙げて解決、支援することに主眼が置かれており、今後、支援調整会議の設置に向けては、地域における女性自立支援施設をはじめ、各種支援団体との意見交換や協議を行い、検討してまいりたいと考えてございます。
 
(危機管理室長) 痴漢被害などに対するアクティブバイスタンダーについての御質問にお答えいたします。
 痴漢などの性暴力を防止するためには、被害現場において声かけや通報など、積極的に行動できる第三者、いわゆるアクティブバイスタンダーの存在が重要であると認識しております。区といたしましては、今後、警察などの関係機関と協力し、痴漢防止キャンペーンなどを通じて、目撃した人が行動に移せるよう、意識啓発に努めてまいります。
 
(区民生活部長) 私からは、大人向けの包括的性教育に関する御質問にお答えします。
 包括的性教育は、体や生殖の仕組みだけではなく、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、性暴力の防止など、幅広いテーマを含む教育を発達段階に応じて学ぶことと捉えております。ジェンダー平等や性の多様性など、性をめぐる考え方が時代に応じて変化している中、大人自身の知識をアップデートすることは意味のあることと認識しております。大人向けの包括的性教育に関するものといたしましては、男女共同参画担当による性の多様性に関する講座や保健センターでの女性の健康講座など、各所管において専門講座を実施しているほか、男女平等推進センターに包括的性教育に関する書籍を配架するなど、知りたい内容を学ぶことができる環境を整えております。今後は、他自治体の取組状況を踏まえ、各所管の実施する専門講座を一体的に合わせた講座として実施できないかなど、研究してまいります。

(教育政策担当部長) 初めに、性被害等に関する相談体制についての御質問にお答えいたします。
 学校では、児童生徒が困ったときに担任以外にもスクールカウンセラーや養護教諭など、信頼できる大人に安心して相談できるように、校内における教育相談体制を整えております。さらに、児童生徒用のタブレット端末から利用できる教育相談アプリ、東京都の第三者相談窓口や、児童生徒向け相談シートの活用など、電話やメール、チャットなど、様々な手段で相談できるようになっております。
 次に、学校における性に関する指導についてのお尋ねですが、御指摘のとおり、今年度、産婦人科医を外部講師に招き、性に関する指導を行った中学校が1校ございます。この取組は、東京都教育委員会性教育の授業という事業を活用したものでございます。学校は事前に生徒や保護者に授業の概要を示し、授業への参加希望を確認いたしました。参加しない生徒には、別室で異なる学習を用意したり、講師と指導内容について複数回確認したりと、準備に十分な時間を取って実施したものでございます。
 教育委員会といたしましては、これまでの学習指導要領に基づいた指導に加えて、社会の変化や家庭の価値観の多様化等、児童生徒を取り巻く環境の変化に応じた学びが必要だと考えております。本年度の取組を先行事例と捉え、今後の性に関する指導の在り方については研究してまいります。
 次に、教員不足に関する御質問にお答えいたします。
 全国的に教員不足が問題となっている中、区立学校でも同様の状況は変わりございません。現在のところ、2月1日時点で、小中学校合わせて約40人の教員の欠員が生じております。臨時的任用教員の補充もできず、時間講師や専科教員対応だけでなく、副校長が担任をしている学校も複数ございます。教員定数は、国や都が定めているところではございますが、昨今の教員不足や教員の働き方改革を鑑み、引き続き、教育長会等を通じて要望してまいります。
 なお、区費教員の採用については考えておりませんが、教員不足への対応として、区では、昨年8月と12月に臨時的任用教員や時間講師など、学校で働ける方を募集する説明会を開催したところ、160名以上の参加者が集まり、約20名が採用等につながりました。教育委員会といたしましては、引き続きあらゆる方法を用いて人材の確保に努めてまいります。
 次に、教員の負担軽減に関する御質問にお答えいたします。
 教育委員会では、校長会等から教員の負担軽減に関する意見や要望等を伺い、まずは、今年度できることから改善を図ってまいりました。例えば学校向けメールタイトルの統一化、オンラインによる欠席連絡やプリント配布、研修アンケートの簡素化などにより、教員の負担軽減を図るとともに、引き続き、教員の意識改革や業務の見直し、人的配置の拡充に取り組んでまいりました。さらに、庶務事務システムの導入により、出退勤管理や旅行命令簿等のデジタル化、効率化を図ることで、教員の働き方改革をより一層推進してまいりたいと考えております。
 また、教員の時間外勤務につきましては、全員一律に給料の4%の教職調整額が支給されておりますが、実態に見合っていないという指摘もあることから、国において議論が進められており、その状況を注視してまいりたいと考えております。
 次に、不登校の一連の御質問のうち、まずは学校内での支援に係る御質問にお答えいたします。
 不登校の未然防止において、学校が児童生徒一人一人にとって安心できる環境を構築することは重要であると考えております。そのため、学校内での相談体制、相談支援を充実させるために、次年度は、現在の都費スクールカウンセラー69名に加えて、区費スクールカウンセラーを20名分増員し、週2日配置される学校を現在の6校から26校に増やす予定です。加えて、スクールソーシャルワーカーにつきましては、次年度は学校の抱えている課題を迅速に把握し、対応できるよう、支援方法を改善してまいります。今後は、学校内で専門性をより発揮し、迅速に対応できるよう、現在の10名体制からの増員を視野に、段階的な学校配置に取り組んでまいります。
 校内別室指導につきましては、現在は教職員とボランティアが子供たちの話し相手になったり、学習支援を行ったりし、安心して過ごせる居場所となるよう取り組んでおります。次年度は、ボランティアに係る予算を拡充するとともに、子供たちの見守り方や、安心できる環境の整え方を教育委員会が助言することで、全校で校内別室指導が実施できるよう、体制整備を進める予定でございます。
 次に、学校外での不登校支援に関する御質問にお答えいたします。
 フリースクールの授業料助成についてですが、都の助成に上乗せする区の助成は検討しておりませんが、教育委員会は、フリースクールに通っている児童生徒の人数及び都の助成を受けている人数は把握してございます。
 次に、学びの多様化学校につきましては、今年度から教育委員会と区長部局、学校による検討会を立ち上げており、設置に向けて具体的な検討や準備を進めております。
 また、アンケート調査についてですが、さざんかステップアップ教室の生徒から意見を聴取したり、不登校の親の会に参加したりして、不登校支援を充実させるために、児童生徒や保護者の支援ニーズを把握してまいります。

(都市整備部長) 自転車活用推進計画案に関する一連の御質問にお答えいたします。
 まず、自転車防犯登録に関するお尋ねがございました。
 本制度は、都道府県公安委員会が規定する自転車を購入する際に登録が義務づけられているもので、盗難、事故の際の名義確認等に活用されているものです。御指摘の人口が増えているにもかかわらず、登録台数が減少していることについては、都内の実情として、転入者の登録変更手続実施の有無や、インターネット購入の際の居住地での登録の有無が把握されていないことなどが原因として推測されるところであり、また、実際、区が実施している各駅周辺の駐車状況調査において、御質問にありました2013年から2021年の9年間で自転車台数に大きな変化がない、そうしたことを踏まえれば、自転車の利用実態との相関関係が不明確であると考えております。今回の計画案では、区の実情を反映すべく、これまでの駐車状況調査等に加え、新たに区政モニターアンケート調査を実施し、現状分析などに活用いたしました。
 次に、自転車利用の指標に関するお尋ねがございました。
 今回のアンケート調査では、自転車利用をほとんど毎日、週に数回、月に数回、年に数回及びほとんど利用しない・全く利用しないの5つの区分で御回答いただき集計いたしました。御指摘の指標設定においては、自転車を利用しない人の移動手段を自転車に転換していく、マイカーから自転車への行動変容を促す意図から、ほとんど利用しない・全く利用しない以外の4つの区分を年数回以上と1つにまとめ、指標として定めたところでございます。
 次に、自転車のインフラ整備や交通ルールのさらなる徹底を求める区民の声に関するお尋ねでございますが、区といたしましては、これまでの対策を強化し、取組を拡充すべきとの認識でございます。今回の計画案では、前提としての都市交通における自転車の位置づけや、自転車施策に対する区としての考え方等を極力分かりやすくお示しするとともに、自転車走行空間整備の加速化や自転車ネットワーク路線の再構築に加え、区民との協働により交通ルールを浸透させる新たな取組を位置づけており、区民からの要望にしっかり向き合い、課題解決に向け取り組む所存でございます。
 次に、警察との連携等に関する御質問にお答えをいたします。
 今回の計画案では、自転車は歩行者の延長ではなく、あくまで車両であり、交通ルールを徹底することが何より重要であるとの考えの下、交通安全への取組を強化することとしており、区民の行動変容を促すため、自転車関与事故等の客観的データを分かりやすく、見やすく提示しております。交通ルール違反の取締りは警察の所管になりますが、これまで実施してきた講習会を含め、今後も一層の連携を強化するとともに、区としても、安全パトロール隊による注意喚起をはじめ、交通ルールの周知徹底に注力し、自転車が選ばれる環境づくりを推進してまいります。
 なお、ワッペンの提供との御提案もございましたが、区の取組、事業に区民が自ら参加したくなるような仕掛けも現在検討しているところでございます。
 私からの最後に、道路、都市構造の転換に関する御質問にお答えをいたします。
 区としては、これまで杉並区まちづくり基本方針の改定や杉並区地域公共交通計画の策定において、人に優しい道づくりや、車中心から人中心の都市交通への転換を明示しており、今回の自転車活用推進計画案で一層前向きな姿勢をお示ししたと考えております。今後のまちづくりにおいては、脱炭素という大命題の下、超高齢社会の進展等の地域課題を踏まえ、健康的で環境にも歩行者にも自転車にも優しい都市空間をデザインしてまいります。
 
(まちづくり担当部長) 中杉通りの自転車通行に関する御質問にお答えします。
 中杉通りに関しては、阿佐ヶ谷駅等周辺まちづくり方針において、取組の方向性として、安全、快適な歩行者、自転車空間の改善を定めており、平成29年度から調査研究を重ねておりましたが、昨年、中杉通りについても自転車の車道通行が原則となったことから、区としても、より課題意識を持って取り組んでいきたいと思います。
 議員御指摘のとおり、中杉通りのパーキングメーターにつきましては、ピーク時の利用率で駅南側で73%、駅北側で37%となっており、撤去を実現するためには、代替施設の整備なども含めた検討が必要となります。これまでも区では、交通管理者である警視庁や道路管理者である東京都などの関係機関、また地域の方々との意見交換などを行っており、本年度は、他自治体の事例調査を行っていることに加え、パーキングメーターの利用目的や頻度などに関する実態調査に向けて取り組んでいるところです。